「夕映え天使」読了

2013年04月17日 | 健康・病気

「夕映え天使」(浅田次郎著 新潮社刊)は、次の6つの小説が載っている短編集です。

「夕映え天使」
この小説のことは4月8日の九想話「浅田次郎と軽井沢」に書いた。

「切符」
両親が離婚した広志は、祖父に引き取られて恵比寿で暮らし始めた。
広志の父親も母親も再婚したので、おじいちゃんは広志と暮らすことを決めたのです。
祖父は、ヒリッピンのレイテ島にかたっぽのあんよを置いてきちゃって義足を使っていた。
祖父の家に間借りしている若い夫婦の八千代さんは、広志の面倒をよくみてくれた。
広志は、夏休みの終わりの1日を、母と後楽園の遊園地で過ごした。
恵比寿の改札で別れたとき、母は切符の裏に口紅で電話番号を書いて、
お小遣いと一緒に渡してくれた。
八千代さん夫婦は離婚して引っ越していった。
東京オリンピックが開催された頃の話です。

「特別な日」
60歳の定年を迎えた男の職場最後の日、と思って読んでいた。
私も60歳なので身につまされて読んでいた。
きっとこういうふうに定年を迎える男はいるだろうと思う。
いい気持ちにさせられて読んでいたら、結末は…、
地球に巨大彗星が衝突するという最後の日だった。
これにはちょっとガッカリした。
人類が絶滅するというときに、人間はこんなに冷静でいられるのだろうか?

「琥珀」
駅前の裏路地に「琥珀」という美味しいネルドリップのコーヒーを出す喫茶店がある。
酒も出さず、1日何杯かのコーヒーを売り、自分1人が食べて行ければいいという店だ。
1人の男がその駅に降りる。
定年を前にして有給休暇を消化するために旅をしている警察官だった。
「琥珀」という喫茶店に入ってコーヒーを飲もうと思った警察官は、
店主を見て15年の時効が1週間ほどで成立する男だと確信した。

「丘の上の白い家」
クラスに貧しくて奨学金をもらっていた2人がいた。
“僕”はワルで、清田は優等生だった。
丘の上の白い家には、少女が住んでいた。
“僕”は、少女に清田を紹介する。
少女と清田が心中をして、少女が生き残る。
私はこの小説は好きじゃないな。

「樹海の人」
自衛隊員の訓練のために富士の樹海に、
無線機を背負った通信兵をみちみち1人ずつ降ろしながら走るトラック。
“私”はそこで20年後か30年後の自分に会う。
この小説は好きです。

浅田次郎の小説のストーリーを作る力は素晴らしい。
私には、悲しいほどその才能がありませんね。
悔しいですが、認めざるをえません。
それでも小説を書きたいと考える私は…。

コメント
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