私が26歳の1978年の11月8日にあのひとと初めて会った。
そのとき私が勤めていた大学生協に彼女が来た。
私と一緒にバイトで働いていたMのところに来たのです。
Mとは現在もつきあいがある。
その夜仕事が終わってから本郷の居酒屋で飲んだ。
そのときから私はあのひとと40年付き合ってきた。
長いですね。
しかしよく今日まで一緒に夫婦をやってきました。
私たちほど性格の不一致な夫婦はいないと思う。
分かりやすいことでいえば、テレビ番組はほとんど別なのを観ている。
彼女はダイニングで、私はリビングでテレビを別々に観る。
ほとんど観ている番組が違う。
ハードディスクの録画リストを見るとそれが歴然と分かる。
一つとして同じものがない。
あのひとは酒が嫌いだ。
私はアルコールがなかったら生きていけない。
女房は片づけ魔です。
いらないものはどんどん捨てる。
私は、現在使ってないものでもいつか使うのではないかと思うと捨てられない。
それでいつも家にあるもののことで意見がぶつかる。
それは百歩譲ってもいいが、私の持ち物のことまで口を出されると腹が立つ。
私はむかしからのものを大切に保管している。
10代・20代に書いていた詩のノート・小説の原稿などがダンボール箱に入っている。
自分でももう見ないのではないか、と思うのだが捨てられない。
むかし使っていた小物(壊れた腕時計・万年筆など)や手帳もある。
年賀状・手紙もたくさんとっといてある(もう見ないのでしょうね)。
あのひとはいっさい保存してない。
見事にきれいさっぱり廃棄している。
でも、あのひとの心根のやさしいところは認める。
人間という生き物を基本的に許している。
それで私は救われてきた。
20数回転職してきた私です。
よくそんな男と40年も一緒にいてくれた。
感謝しかないです。
しかし、明日からも家庭内“別暮らし”は続くでしょう。