自転車のサドルの上で・・・

サドルの上での気ままなひとりごと

永遠のニシパ

2019-07-18 | Weblog

 月曜、NHKで「永遠のニシパ 北海道と名付けた男 松浦武四郎」を見た。武四郎は北海道で良く知られている人物であるが、生まれ故郷の三重県では知らない人もいる。松阪市三雲の出身で地元には公立博物館もあるのだが。  
 北海道を6度も探査し、その中で、アイヌに対しては松前藩(後には幕府)の許可を得た運上屋(商人)などによる搾取、働き手の人狩り、女性への凌辱などの状況を広く訴え、救おうとした人物でもある。
 今年に入ってから、アイヌ民族のルーツについて興味を持って調べたが、近時のDNA分析結果では、サハリンやアムール流域からの民とカムチャッカ半島からの民などの要素、縄文人~続縄文人の末裔擦文人(7c~13c)などの要素があるとのことで、日本人や縄文人にはないハプログループY遺伝子を20%持つとされる。明治11年に北海道のアイヌ集落を訪れたイザベラバードは「むしろ西洋人に似ている」と書いている。上瞼は2重であり(蒙古ひだがあるのは5%程度)彫が深いからでもある。
 維新後も、狩猟採集民であり、広大な山野を自由に使って生計を立てていたアイヌにとって、同化の名のもとにその自由を奪われることは困窮・没落への道でしかなかっただろう。
 NHKドラマは80分余りでいささか短い。4,5回に分けなければなかなか伝わらないなぁ・・・と感じたが、ドラマの最後の方に出てきた武四郎の絵のシーン、アイヌの民の臓腑や骨を肴に宴会する武士や商人、それを外から見るアイヌの亡霊。これは「アイヌ人物誌 原著名 近世蝦夷人物伝(青土社)」という武四郎の書いた本(幕府から発禁処分となった)にも掲載されている。利権のために先住民が牛馬のごとくこき使われ、犠牲となった絵でもある。また、ドラマのアイヌとの交流場面などはこの本の内容をもとに創作されたものと思われる。

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