そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

民主主義とは、法治国家とは

2006-09-21 23:38:22 | Politcs
タイのクーデターのニュースに接して感じたこと。

クーデターという手段はおよそ民主主義的なものではない。
特に今回のような軍によるクーデターの場合、軍事という特権的な力を持っていたからこそ起すことができた。
暴力による権力奪取である。

ところが、今回のクーデターではまったく血が流れていない。
それどころか、王もこれを認め、民衆の多くも支持しているという。
民主主義的な手段によるものではないはずの政権交代が、民意を反映した(と判断される)結果をもたらすという逆説。

また、クーデターという手段は、民主主義的でないとともに法治国家的でもない。
法によるコントロールが利かない社会は、国際的にはイメージダウンを逃れられない。
タイには外国資本による投資も多いが、法に基づく制度が信頼できない社会であるとの烙印を押されるのは、タイという国にとって大きなダメージだろう。
が、報道によれば、タクシン首相がその座に居座り続けている時点で法治は形骸化しているようでもあり、今回のクーデターにより安定が取り戻されるのであれば、これもまた結果オーライなのかも。

そう考えていくと、我々が通常金科玉条のように思っている「民主主義」だとか「法治国家」だとかいう価値規範の絶対性が揺らぎ、何だかあやしく思えてきて興味深い。
コメント (2)
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