![]() | ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる筑摩書房このアイテムの詳細を見る |
当初このブログは、読書の記録としても使っていこうと考えていたんだけど、特に子供が生まれて以降書く時間が取れなくなりだいぶ滞ってしまった。
読書の方は細々と続けているので、せっかく読んだものを無駄にしない意味でも遅ればせながら少しずつレビューをエントリしていこうと思う。
読んでからかなり時間が経ってしまったので、簡単な印象を述べるくらいになってしまうが。
まずは、今さらの感があるが、今年の春先に読んだ「ウェブ進化論」。
「Web2.0」だとか「ロングテール」だとかいう言葉はすっかり市民権を得ている感があるが、自分がその概念をきちんと知ったのはこの本からである。
これら概念については、実例を用いつつとてもわかりやすく説明されている。
ネットの世界で、リアルタイムで今どんな現象が進行しつつあるか、そのダイナミズムを系統立てて理解することができる。
全体的には「グーグルがいかに凄いか」について語られた本だと言える。
読むにつれ、その凄さは頭では理解できるのだが、あまりに「凄い凄い」と言われると、天の邪鬼な自分は「ホントに凄いのか」と疑いたくなるのも正直なところである。
何となくその「凄さ」を実感できないのは、日本におけるグーグルの地位と、本国アメリカにおけるそれとの間にけっこう落差があることに起因するのか。
また、グーグルの本当の「凄さ」はそのビジネスモデルにあるのではなく、模倣が容易なネットの世界において他の追随を許さない「技術力」にあるからなのかもしれない。
「技術力」というのは、技術者以外の人間にはなかなか実感しづらいものだ。
実はもっとも印象に残っているのは、筆者がここ1、2年で感じているという「IT産業における日米の関心」の相違について述べられている部分。
日本のIT産業の関心が相変わらずネットの「こちら側」(PCなどに代表される)にあるのに対して、アメリカのそれは「あちら側」(検索エンジンに代表される)へとシフトしているということ。
「こちら側」と「あちら側」は付加価値を奪い合う関係にある。
付加価値の源泉が「あちら側」にシフトし続けて言った場合、日本のIT産業の未来はどうなっていくのか。
日本のIT企業に身を置くものとして、正直けっこう薄ら寒い予感を感じたりもする。
そんな警戒心もあって、グーグルの「凄さ」を素直に認めたくない気分になるのかもしれない。