![]() | 闇に香る嘘 |
下村 敦史 | |
講談社 |
最後の真相明かしはよく考えられているが、そこから逆算してすべてが構築されていることが透けて見えてしまう。
しかも文章が硬いというか、「描写」じゃなくって「説明」になっている。
これじゃあ、とてもページを繰る手が止まらない、という感じにはならない。
人物造形もイマイチ真に迫るものがなく、特に主人公が70歳近い老人であるという印象が全く伝わってこない。
まあ、映画やドラマなど映像作品では描くことが難しい、「常闇」という主観に文章作品でチャレンジした意欲は買うが。
この程度で江戸川乱歩賞受賞と。
ちょっと信じられんなあ。