著者自身の祖父と父にまつわる実話を基にした小説とのことだが、それもあってなんだかNHKの「ファミリーヒストリー」みたいなテイスト。
章によって、一人称が息子→母→父…と入れ替わっていくが、それによって家族の有り様が多面的に立ち現れてくる。
昭和39年から過去を振り返る序章と終章は、単行本のために書き下ろされたもののようだが、これが加わることで時間的な深みが増す効果を生んでいる。
「ファミリーヒストリー」を視てもいつも思うけど、自分よりも二世代ほど前のこの時代、現代よりも世の中がずっと不確実で、どの家族も社会状況に翻弄されながら生きていたのだと思い知らされる。
主人公の家族に限らず、どの家族も不確実な時代をそれぞれに懸命に、誠実に生き抜いていた。が、それが共同体に広がると、同調圧力やら余計なものが働いて、時に悲劇も生まれる。
そんな人の世の難しさ、哀しさもまたこの小説には刻まれている。
#ブクログ
章によって、一人称が息子→母→父…と入れ替わっていくが、それによって家族の有り様が多面的に立ち現れてくる。
昭和39年から過去を振り返る序章と終章は、単行本のために書き下ろされたもののようだが、これが加わることで時間的な深みが増す効果を生んでいる。
「ファミリーヒストリー」を視てもいつも思うけど、自分よりも二世代ほど前のこの時代、現代よりも世の中がずっと不確実で、どの家族も社会状況に翻弄されながら生きていたのだと思い知らされる。
主人公の家族に限らず、どの家族も不確実な時代をそれぞれに懸命に、誠実に生き抜いていた。が、それが共同体に広がると、同調圧力やら余計なものが働いて、時に悲劇も生まれる。
そんな人の世の難しさ、哀しさもまたこの小説には刻まれている。
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