携帯電話の架空請求書や融資保証金を振り込ませるなどの「振り込め詐欺」が再び増加しているようです。
そこで今日は「振り込め詐欺」の手口と対策について調べました。
「振り込め詐欺」とは、被害者に対面することなく、現金を犯人の管理する預貯金口座に振り込ませるなどして、お金を騙し取る知能犯罪で、警察庁では、
(1)「オレオレ詐欺」
(2)「架空請求詐欺」
(3)「融資保証金詐欺」
(4)「還付金等詐欺」の4類型に区別して対策を練っているようです。
このうち今日は(1)の「オレオレ詐欺」についてその手口や被害に遭わないための注意点などをご紹介します。
1.「手口」
「オレオレ詐欺」の手口の主なものは、
① 息子や孫になりすました犯人から「携帯電話の番号が変わった」という電話がかかってきます。
その後、「会社のお金を使い込んだ。監査でばれるとクビになる」「友人の借金の保証人になった」「株で失敗した」等と言って現金を要求してきます。
② 「おれだよ、おれ。」と電話をかけて、電話に出た者がうっかり「○○ちゃん?」等と問い直すと、「そう、○○。実は事故にあっちゃってお金が必要になった。すぐに
お金を振り込んで。」などと言い、指定した銀行等の口座に現金を振り込ませる手口です。
③ お金が必要な理由は、借金の返済、事件(他人にケガをさせた、高価なものを壊したなど)や交通事故の示談金、弁済費などさまざまです。
④ 警察官や弁護士、鉄道関係者を名乗って、痴漢による逮捕を免れるための示談金の請求をしてくるようなケースもあります。
2.「事例」
① 離れている息子からの電話で、「携帯買い換えて番号が変わったんだ・・・。新しい電話番号控えといてよ」との連絡があり、数日後その番号から電話がかかって
きました。
「アルバイトで浄水器の販売をしてたんだけど、失敗の穴埋めするために会社の金を使い込んだ。会社の上司が立替えてくれたんだけど、早く返さないと会社を首
になるから98万円振り込んで欲しい」と父親あてに電話がかかってきた事例です。
② 妻が一人でいるところへ、警察からの突然の電話がありました。
「ご主人が痴漢をして捕まっています。」と言われ、妻が動揺しているところへすかさず弁護士と名乗る男が、
「このままだと逮捕されます。刑務所へ行く事になります。会社は首ですね。新聞にも載るでしょう」と畳み掛けてきます。
「警察も忙しいんだから、示談に応じるかどうか早く決めてください」と急かされた妻の事例です。
③ 息子から久しぶりの電話がありました。懐かしいと思うのもつかの間、おびえた声で、
「友達の保証人になってしまった。このままだと取り立て屋に何をされるか分からない。すぐに金を振り込んで欲しい」と懇願された母の事例です。
3.「騙しのテクニック」
① 事前に身内を名乗り「携帯電話の番号が変わったから控えておいて」等と連絡しておき、電話番号をひかえさせて、騙しの電話をするときの警戒感を払拭させま
す。
② 予め「風をひいて声が変だと思うけど・・・。」といっておき、相手に疑問を抱かせないようにする。
③ 複数の人が登場する劇団型と呼ばれるもので、各人が役割分担してもっともらしく話を展開し、実に巧みなグループワーキングで金銭を騙し取ります。
④ 銀行等の閉店間際に振込を要求してきて「時間がない」といって急かせます。
⑤ 銀行の振込だけでなく、バイク便業者や直接代理人を自宅に出向かわせ、現金を手渡しさせたり、定型小包郵便物(エクスパック500)による送付等の受け渡し
方法を指定するなどして騙し取ります。
⑥ 振込を確認した後、更に振込を要求してくる犯人もいます。(これは、一度お金を振り込んだことにより、「この人からはお金が取れる」と思われてしまうからです)
4.「何故騙されるか」
事例では ・息子の名前を言ったので信じた
・息子の同級生の名前を言ったので信じてしまった
・息子の大学名や学部まで言ったので信じてしまった
などのが報告されているようです。
犯人達が持っている名簿によっては、ご家族の名前だけでなく卒業した高校、大学等いろいろな情報が載っている可能性があります。
電話の相手が本当に息子さんやお孫さんなのか、確認しましょう。
5.「公的機関を名乗る詐欺」
警察官や銀行協会職員を騙った「オレオレ詐欺」でキャッシュカードを騙し取られる事件も発生しています。
これは、警察官や銀行協会職員を名乗って、暗証番号を聞き出し、キャッシュカードを騙し取る手口で、「振り込め詐欺」の一種です。
6.「具体的な手口」は
警察官(警察本部捜査二課、○○警察署刑事課)を名乗り、「振り込め詐欺の犯人を検挙して、家宅捜索をしたところ、あなたの口座が振り込め詐欺に使われていることがわかりました。
このまま放置すると口座凍結することとなり、 預金が全て使えなくなってしまいます。
銀行協会の職員を行かせて、手続きを取りますので自宅でお待ち下さい」などと言って電話をかけてきます。
その際に、「手続きをスムーズに進めるために、事前にシステムに登録しますので4桁の暗証番号を教えてください」などといって暗証番号を聞き出します。
その後、自宅に銀行協会を名乗る者が、偽の身分証明書、名刺を示して来訪し「警察から以来されてきました。口座凍結回避の手続きをしますので通帳とキャッシュカードをお預かりします」などといってキャッシュカード等を騙し取ります。
7.「電話を受けたら」
このような電話を受けたら、
・慌てたり、動揺したりしないことです。電話を切った後すぐに事実を確認するようにしましょう。
・「身内が交通事故」「示談金」「手術費用」などと言う電話を受けた時には「詐欺かもしれない」と疑ってみることです。
・本人しか知らない事実を相手に言わせて確認することも有効です。 例えば,車のメーカー,色,服装,事故の相手の氏名,入院先など。
・警察が示談の仲介をすることはありません。注意しましょう。
・弁護士や保険会社が事故や交通事故の直後に示談金の振込みを勧めることはありません。
・すぐにお金を振り込まないことです。振り込む前に家族や親戚、警察等に相談してください
8.「被害に遭わないために注意点」
1 「携帯電話の番号が変わった」と家族から電話がかかってきた場合、振り込 め 詐欺の可能性があることを考えながら、 慎重に会話をすることが大切です。
そして必ず元の携帯番号に電話をして確認しましょう。
2 日頃から家族と連絡を取り合い、振り込め詐欺の対策について話し合いをしたり、「合言葉」を決めたりしておきましょう。
こうすることで、詐欺電話がかかってきた時に落ち着いて電話を受けることができます。
3 警察や銀行協会等から電話があった場合、言われた電話番号を信じることなく電話帳や電話番号案内(104)等で調べる習慣をつけましょう。
4 例え警察官や官庁職員であっても、他人には絶対暗証番号を教えてはいけません。
また警察官や銀行協会職員等が暗証番号を聞くことは絶対にありません。
5 この種の電話があったときにはそれが事実かどうか確認するために、本人の携帯電話や勤務先の電話番号等を把握しておき、いつでも確実に連絡が取れるよう
にしておきましょう。
6 連絡が取れない場合は時間をおいて電話するなどして必ず連絡を取り、事実を確認してください。
7 これらは、悪徳商法ではなく完全な犯罪です。被害に遭ったらすぐに警察に相談してください。