弾劾裁判
韓国の国会は昨日の本会議で、朴槿恵(パククネ)大統領の弾劾(だんがい)訴追が可決され、大統領の職務が停止されました。
この後180日以内に憲法裁判所が弾劾を承認すれば、朴大統領は罷免され、60日以内に大統領選挙が実施されます。
現職大統領の弾劾案可決は2004年3月12日、当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領に続き、史上2番目となります。
日本では総理大臣を罷免する弾劾はありませんが、裁判官を罷免する弾劾裁判の制度はあります。
そこで今日は余り聞き慣れない「弾劾裁判」について調べました。
「弾劾」とは、広辞苑によると、①罪や不正をあばき責任を追及すること。厳しく人を攻撃すること。②公務員の罷免手続きの一つ。
と説明しています。
弾劾裁判とは、日本では、裁判官を罷免するために行われる特別な裁判で、憲法64条に次のように規定されています。
[憲法64条]
第1項 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
第2項 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
「弾劾裁判制度」
日本の弾劾裁判のモデルとなったのはアメリカの制度で、昭和22年に誕生しました。
弾劾裁判の裁判官は国民の代表である国会議員の中から選ばれた裁判員によって組織され、特別に設けられた裁判所で行われます。
「弾劾裁判所の設置」
弾劾裁判については憲法のほか裁判官弾劾法、国会法、裁判官弾劾裁判所規則の定めるところによります。
弾劾裁判は、衆参両院より選挙された各10名、計20名の訴追委員により構成される訴追委員会が、罷免の訴追を行うことによって開始され、訴追は、訴追委員会の議決によって行われます。
弾劾裁判所で裁判を行う裁判員は、衆議院と参議院のそれぞれの議員の中から7名ずつ選ばれた合計14名の国会議員です。
弾劾裁判所は、口頭弁論、公開主義をとり、罷免は3分の2以上の賛成を必要とされています。
「弾劾理由」
弾劾による罷免の理由としては以下の二つがあります。(裁判官弾劾法20条)
(1)職務上の義務に著しく違反しまたは職務を甚だしく怠った時。
(2)その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があった時。
「過去の罷免訴追事件」
弾劾裁判制度が始まった昭和22年以降の罷免訴追事件は、昭和時代に6件、平成時代になってから3件の合計9件あります。
裁判官弾劾裁判所公式サイト「罷免訴追事件」にリンクしておきますので、関心のある方はご参照ください。