先日、大阪の通天閣では、毎年恒例の干支の引き継ぎが行われました。
関西の方はよくご存知ですが、全国には知られていないかも知れないので取り上げることにしました。
干支の引き継ぎ式は昭和31年に現在の通天閣が開業してから毎年年末に行われている行事で、今年で61回目となります。
本物の動物同士が世相をテーマに対面・対談し、この一年の反省と来年の抱負を談話発表のスタイルで語り合う場として行われ、毎年ゲストによる「ダジャレ」を用いた口上が名物の一つとなっています。
引き継ぎ式が行われる通天閣には、今年の干支“申(さる)”が中村芝翫(しかん)さんを従えて登場し、来年の干支の酉は、元は動物園のエサ用で、関西では奇跡のニワトリと言われている「マサヒロくん」と「ヨシトくん」が登場して対面しました。
はじめに、通天閣を運営する会社の西上社長がサルを肩に乗せ、
「猿も木から落ちるの驚きの連続の一年、今年も反省材料にことキャキャない(こと欠かない)年になりました。地震に、高齢者の運転に、薬物乱用、スマートフォンゲームの歩きスマホ急増や国民的アイドルグループの解散騒動と、気持ちがくサル(腐る)年でした。みんなモンキー(文句)言わんといて!、サル(去る)年は追わず、来年を前向きに迎えましょう。」
とだじゃれを交えた口上で1年を振り返りました。
これに対し、ことし歌舞伎の大名跡を襲名した歌舞伎俳優の中村芝翫さんが酉年の口上として、
「来年も大きくはばたく年に致しましょう。飛ぶ鳥を落とす勢いで、幸福と繁栄をトリ(取り)込み、世の中が色トリドリ(とりどり)の幸せにうっトリ(うっとり)包まれるように。日本の元気をトリ(取り)返すぞ!」
と、トリにちなんだ口上で来年の抱負を述べました。
今年のゲストには、歌舞伎の重要な名跡「芝翫」を八代目として襲名し、来年1月2~26日に大阪松竹座(中央区道頓堀)で開幕する襲名披露公演を行う、中村橋之助改め中村芝翫さん(51歳)と、同時に襲名した息子の橋之助さん(20歳)、福之助さん(19歳)、歌之助さん(15歳)が登場し、会場は歓声と拍手に包まれていました。
いかにも大阪らしいダジャレを交えた引き継ぎ式ですが、中村芝翫さんの口上のように、来年は酉君が大きくはばたいて、元気な日本を取り戻して欲しいですね。