先日、関西地方の地域ニュースで知ったのですが、東大阪市の枚岡神社では「お笑い神事」と言うちょっと変わった神事があるようです。
一般に神事とは、神に関するまつりごと、儀式のことで、神前での祈りや神に伺いを立てることなどであり、神と結びついたものが多いのですが、枚岡神社では新しい年を迎えるにあたって、新しい注連縄を架けかえる「しめかけ神事」と共に、宮司の音頭に続いて参拝者全員が20分間笑い続ける「お笑い神事」が行われます。
この神事の由来は、神々が天照大神を誘い出すために大声で笑い続けたという神話に由来しているということです。
笑うことで雑念を笑い飛ばして新年の福を願う行事として行われている他に、その健康に与える効果として、細胞が甦る。免疫力が高まる。病気や癌になりにくい。認知症になりにくい、などの効果が指摘されていることから、年々参加者が増えているそうです。
当日は総代たちの手で注連縄が掛けかえられた後、宮司の「アッハッハッ」の音頭に続いて一同が「アッハッハッ」と、これを3度繰り返した後、全員で20分間自由に笑い続けます。
実際の神事の様子は下記の動画をご参照ください。
(参考)
なお、神事の由来となっている「天岩戸神話」については下記に略記しておきます。
「天岩戸神話」
天照大神(あまてらすおおみかみ)の弟神(おとみこ)、素戔嗚(すさのお)の尊(みこと)の再三にわたる悪業に怒った天照大神は、ついに天の岩戸を閉して隠れてしまった。
そのために、国中は常闇となり昼夜の境目もなくなってしまった。
そこで八十万神(やそよろずのかみ)たちが、天安河辺(あめのやすのかわら)に集まって、大御神のご機嫌をとりもつ相談をする。
まず、女神アメノウズメがしずしずとあらわれ、岩屋の前に置かれた伏せた桶の上で、ニワトリの声に合わせて踊りはじめました。
トントト・・・トントト・・・トトトン・・・! 手拍子、足拍子おもしろく、足をふみならしながら、腰をフリフリゆらゆら、何かにとりつかれたように踊ったものだから、着物はずれるわ、お乳は見えるわ、へそも見えるわで、見ていた神さまたちは大笑い。
「ワーッハッハッハ! アメノウズメの姿はどうじゃ!へそが見えるぞ! おっぱいも見えるぞ!ワーッハッハ!」
「私が隠れてしまってまっ暗になったはず。みんな心細いはず。なのにあの騒ぎは何じゃ」
外の騒ぎを不思議に思ったアマテラスは、岩屋の戸を少しだけ開いて、外の様子を窺いました。
すかさず、アメノウズメがアマテラスに「あなたさまよりも、もっと立派な神さまがここにおられます」と言うと、アメノコヤネとフトダマがアマテラスの前にさっと鏡を差し出しました。
そこには、キラキラと光り輝く美しい神さまが映っていたものだから、アマテラスはいよいよ不思議に思い、その神さまをもっとよく見ようと身をのりだして鏡をのぞきこんだその時です。
「さあ! 今だ!」
岩屋の戸のわきに隠れていたタヂカラオがアマテラスの手を引っ張り、岩屋から連れ出しました。
あっという間に、高天原(たかまがはら)にはふたたび日の光があふれ、山も川もふたたび輝き始めました。
めでたし、めでたし。
ところでスサノオは、たくさんの神さまたちにこっぴどくこらしめられて、高天原を逃げるように去って行きました。