懐疑論者の方々は、「排出権取引制度とは、新しい金融商品をつくって投機活動を繰り広げようというEUの金融業界の新戦略なのではないか。→ 彼らが温暖化危機をあおるのは排出権取引で儲けようという私的欲望に基づいているのではないか。→ 故に彼らがあおる温暖化危機そのものが虚構なのではないか」というロジックで、温暖化という現象そのものまで否定してしまっています。しかし最初の二点に関しては半分は当たっていると私も思いますが、最後の三点目はとんでもない論理の飛躍と言わざるを得ません。
編者の宇沢先生は、京都議定書が採択された当時から排出権取引制度に反対の論陣を貼っていました。宇沢先生の基本構想は京都議定書以前から、国際的な基準で炭素税を徴収し、その税収を大気安定化国際基金がプールし、各国が実施する植林活動への補助金として拠出するというものです。その際、先進国と途上国の公平性が保たれるよう、一人当たりGDPに比例させて炭素税には格差をつけます。 . . . 本文を読む