宇沢先生は、経済学以外の諸分野の研究者たちと協働で、社会的共通資本概念を深化・発展させるため、東大出版会から「社会的共通資本シリーズ」の刊行しておりました。これまで『社会的共通資本としての医療』『社会的共通資本としての川』が出て、この『森』で三冊目です。以下、教育、都市、金融・・・・と宇沢先生の構想の中で続刊の計画はできていましたが、先生の逝去にともない、先生が自ら編集された本としてはこれが最後の本になりそうです。
本書において、社会的共通資本のネットワークは、人間の経済活動・制度資本・自然環境などが相互に作用しながら共進化し、生成・発展していくシステムであると捉えています。社会的共通資本概念の深化を試みました。本書は、森林を事例に、森林の公益的機能、森林文化、森林管理制度が相互に作用しながら進化・発展していくという認識で叙述されています。社会的共通資本に関して、啓蒙的な本よりも一歩踏み込んだ内容を理解したい方、ぜひ参照下さりたく存じます。
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