代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

日米修好通商条約に関税自主権はあったという問題

2020年12月11日 | 歴史
問題は、日米修好通商条約の付属文書である「貿易章程」の末尾にある次の文章である。  和文正文 右(注:関税率規定)は神奈川開港の後五年に至り日本役人より談判次第入港出港の税則を再議すへし 英文正文 Five years after the opening of Kanagawa, the import and export duties shall be subject to revision, if the Japanese government desires it.  和文では、5年後には日本側が提起次第、関税率規定を再議すべしとなっていて、関税率の改訂には再交渉が必要ということになり、日本に関税自主権があるとは言えないことになる。  しかし英文の方を見て欲しい。英文の方を訳せば、「神奈川開港から5年の後、日本政府が望めば、輸入・輸出税は改訂される必要がある」という意味になる。つまり日本が関税率を改訂する(revision)と希望すれば、法的義務としてアメリカ側はそれを承認せねばならないのだ。すなわち、関税率を決める権利は日本側にのみ帰属するのであるから、日本に関税自主権はあることになる。 . . . 本文を読む