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一般臨床医の診断

2013-06-13 08:21:41 | Weblog
開業医において 日々惰性の診療の中には危険な病態をもつ患者がいる。
写真の症例は55歳男性(非喫煙者)
主訴は食事してると舌をかんで口内炎ができて痛い

咬合状態や下顎に装着されているRPDのクラスプとの接触状態をみても
関連性は薄いと考えるが、この境界不明瞭な潰瘍に私は
口腔内悪性腫瘍の好発部位、年齢、病状などから、悪性の腫瘍を疑い、
出来る限り早期に総合病院にて精密検査を受けることを先週すすめた。
一昨日、患者から『病院で初期の『舌癌』だといわれた』、と電話があり
私は“やっぱりな…でもステージ1のうちに処置がしてもらえる”という心中であった。
この扁平上皮癌。 患者に紹介状の中に癌の疑いがあると書いてることは
伏せて、何の病態か早く診断してもらってほしいとしか口頭で言っていなかったが、
患者からは早期に見つけてくれて感謝してると言われたが、私の心境は複雑である。

口腔外科出の開業医なら容易に病態について疑いをもつことができると思うが、
そうでない臨床医なら口内炎と判断し、経過観察を行なってしまい、
長期に放置してしまうと病状が進行してしまい重篤な状態になった時には
手遅れの状態になってしまう。
我々一般開業医は日々の治療において命に関わる現場にいることを忘れてはならない。
日々の安易な診断は禁物である。