ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

「危機/イエス」 2013年ミックス&5.1サラウンド

2013年11月12日 | プログレ
 先月と今月は出費のかさむ月だ。前回紹介したハケット先生のGenesis Revisited: Live At Hammersmithに引き続き今月は11日にThe Beatles のOn Air ? Live at the BBC Vol.2が発売され、そして同日、待望の危機Close To The Edge サラウンド盤が我が家に届いた次第。同盤はCD + DVD-AudioとCD + Blu-rayの2種類が同時発売となっている。その内容は次のとおり。

CD/DVD-A
1 New 5.1 Surround Mix 96kHz/24bit from original multitracks
2 New 5.1 Surround Mix Lossless 96kHz/24bit from original multitracks
3 New Stereo Mix Hi-Res 96kHz/24bit from original multitracks
4 Original Stereo Mix Hi-Res 96kHz/24bit flat transfer from the original Stereo Master tapes

CD/BLU-RAY
1 New 5.1 Surround Mix DTS-HD 96kHz/24bit from original multitracks
2 New Stereo Mix LPCM 96kHz/24bit from original multitracks
3 Original Stereo Mix LPCM 192kHz/24bit flat transfer from original master tape
4 America ? Original Stereo Mix LPCM 192kHz/24bit flat transfer from original master tape
5 Instrumental Versions ? New Stereo Mix LPCM 96kHz/24bit
6 Needle-drop of Original UK Vinyl LPCM 96kHz/24bit A1/B1 pressing
7 Numerous Audio Extras LPCM 96kHz/24bit including single edits & studio run throughs

 DVD ・Blu-rayにおけるサウンドの細かな違いについては不勉強のためこの後確認する。ただ通常のCDサウンドよりは良い音で収録されているのは確かだ(笑)。

 以前このアルバムに関するレビューは行っているので、ここでは曲"Close To The Edge"という一大叙事詩のサラウンド・サウンドについて感想を述べたいと思う。

 冒頭の鳥のさえずり、水の流れの効果音は四方に広がりまるで楽園の中心にいるよう。当時のイエスはギターがメインのバンドとして扱われていたと思う。ビデオ版YESSONGSを見るとスティーヴ・ハウを追うショットが多い。そしてこのサラウンドもギターがほとんど前方に位置され、リック・ウェイクマンのキーボードはどちらかというと後方にまわり空間作りを果たす処理がなされている。ジョン・アンダーソンのヴォーカルはセンタースピーカーから生々しく聞こえる。クリス・スクワィアーのビンビンベースはウーハー効果もありとりわけその存在感を増す。そしてビル・ブルフォードのハイチューニング・ドラムスは前方LRの範囲内で独特のサウンドを刻む。LPや従来のCDでは前方2チャンネルにぎっしり詰まっていた音が4方に拡散されているので迫り来る緊張感は少し和らいでいる。しかし、パート3: I Get Up I Get Down では素晴らしい空間演出がなされ、サラウンド化の意義も実はここにあるのではと感じた。ハウとクリスのバックヴォーカルが後方の深淵からささやきかけ、それに答えるかのようにジョンのヴォーカルが正面より悲しげに状況を語る。非常に想像力を欠き経たせる演出である。その後に続くこのパート終盤のチャーチオルガンの荘厳さは涙ものだ。続くリックのハモンドソロはいったいどこから音がくるのかと思わせるくらい全体に鳴り響き、曲はクライマックスへ。最後の鳥と水の響きが再度部屋の中を楽園に変える。同じSteven Wilsonがミックスしたクリムズン・アルバムのような派手な音の移動は感じられない空間処理ではあるが、長年待っていたサウンドの一つの回答がここにはあった。

 なお、Blu-ray盤には初期のアナログ盤のリッピング、そして何と全曲のインストルメンタル版が含まれている。まさかとは思ったが、後者は本当にカラオケであった。私はこれらを聞きたかったのと、通常使用するDVD-audioプレーヤー用にDVDをと結局両方を購入してしまった。ジャケットはDVD版がデジパック、Blu-ray版が紙ジャケット仕様である。
 届いたばかりなので十分な検証ができていない。今後、じっくり聴いていきたい。