ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

ジェネシスのアナログ盤 SECONDS OUT 「幻惑のスーパー・ライヴ」(2枚組ライヴ盤)

2016年07月10日 | プログレ
 1977年、ジェネシスの次作はライブアルバムだとのアナウンスがなされ、それはとても楽しみなこととなった。フィル・コリンズがフロントマンにシフトしてから2枚のアルバムをリリースし、どちらもとても素晴らしい内容だったこと、そしてそれらの曲やゲイブリエル時代の曲をどのようにライブで演奏しているのか、ということなどに期待は膨らんだ。そんな中、2枚組のこのアルバムが発売され、私はいち早く店頭に並んだ輸入盤(UK盤)を購入。中には両面に写真やパーソネル等の記載のある厚手のインナーが2枚、別にレコード収納用のインナーが付属している。

 オープニングがSquonkなのは意外だった。もっと華々しく始められる曲があるだろうにと思ったが、実はこの曲結構最初からノれることに気がついた。スタジオ版ではフェードアウトだったがエンディングが加味されそれもカッコイイ。だからこの曲も自分のバンドでコピーをすることに(そしてこれも歌は難しかった!)。Cinema Showもエンディング付きになったが、逆にFirth Of Fifthはイントロなしの演奏。現在のハケット・バンドではこのイントロも完全再現しているが、当時の機材なら仕方がないのかも。これも我がバンドでイントロなしヴァージョンでコピー(ただし私のフルートは演奏)。The LambからMusical Boxへのメドレーもライブならでは。それはDance からLos Endosへの繋がりにも言える。この流れはその後定番化する。

 中でも一番のハイライトはSupper’s Ready。この一曲を聴くだけでもこのライブ盤の価値はある、それほど素晴らしい演奏である。フィル・コリンズのヴォーカルも表現力豊かだが丁寧に歌い込んで安定感がある。支えるバックの演奏は完璧。サポート・ドラマーのチェスター・トンプソン(一部ビル・ブルフォード)の参加により、所々で聞くことのできるツイン・ドラムはこのライブの売りの一つで、それぞれの高度なテクニックで違った演奏を同時にきかせるところに凄さがあるのだが、この曲の後半部分、Apocalypse in 9/8 でのチェスター&フィルのコンビネーションが素晴らしく、スリリングなオルガンソロを盛り上げている。

 その2人のドラムスはラストのLos Endosでの盛り上がりにも拍車をかける。この曲は終盤Squonkのフレーズが流れることから、実は1曲目とつながっている。ライブとしての全体の統一感が図られていたわけだ。(実際にはD面最後に会場内に流れた「ショウほどすてきな商売はない」がライブの締めとなるのだが、その後のCD化の際にはオミットされてしまった?)

 ということで本作は申し分のない名ライブ盤である。これに彼らが力を入れていたジャケ写真のようなライティングが加わる場面を実際に見ることができたら、どんなに良かったかと思いを馳せたものだ。ところが、この後、確か初来日の時期だったと思うが、神奈川のローカル・テレビ局の音楽番組がこの時代のライブを放送したのである。ライティングも含め私はジェネシスの動く姿を初めて見て歓喜した。そしてその時フィルが身体全体を使って歌の表現をしていることに衝撃を受けた。そういえば、I Know What I Like でタンバリンをたたく音と聴衆の盛り上がりを聞くことができるが(インナーケースに写真も)、積極的なパフォーマンスを行っていたことを実感し、その後の自分のヴォーカル・スタイルの参考にしたものだ。

 さて、後年振り返ってみると、私のジェネシスへの特別な思い入れは一度ここで区切りをつけることになる。


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