ヒロヒコの "My Treasure Box"

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ジェネシスのアナログ盤 Wind & Wuthering 「静寂の嵐」

2016年07月07日 | プログレ
 76年リリース。ジャケットの色合いのせいだろうか、全体的に地味な印象を与える本アルバムだが、収録された曲には名曲が多い。1曲目のEleventh Earl Of Marはプログレ・バンド少年のコピー魂を煽る要素満載で、実際私の学生時代のバンドもこの曲を演奏した。一番大変だったのはヴォーカルだろう。担当したのは私だ。何せキーが高くて声が出ない、物語を語る歌詞も長くて覚えづらいなど苦戦を強いられた。全く役割を果たせなかったが、他のメンバーの演奏力は凄かった。録音したテープを聴くと今でも鳥肌が立つ。話しがそれたが、この曲はジェネシスの78年初来日公演でオープニングを飾ったことも忘れられない。他にもフィル時代では初の物語風楽曲のAll In A Mouse’s Night、ハケットのナイロン・ギターとメロトロンが 夢見る気分にさせてくれるBlood On The Rooftops、 その後のライブの定番Afterglow 等の名曲が並ぶ。12弦ギターがバッキングでアルペジオを奏で空間的な広がりを感じさせるWot Gorilla? も好きで、ぜひバンドでやりたかった曲である。

 このアルバムではローランドのストリング・シンセサイザーが使われており、メロトロンとは違ったシャープなストリングス・サウンドを奏でているのも本作の味付けの一要素と思う。キーボードの進化は著しく、次作ではヤマハのCP80エレクトリック・グランドピアノが登場、そしてシンセサイザーはこの後ポリフォニック化され、バンドのサウンドも大きく変わっていくことになる。

 手元のアナログ盤は国内初回のものと、UK盤の2枚。UK盤を入手するまでジャケットが薄いエンボス加工であることと、色のついた歌詞付きインナーが付属することを知らなかった。国内盤はこの頃もオリジナルに忠実ではなかったということだ。しかし、このアルバムで初めて歌詞の対訳がついたので、楽曲の理解を深めることができた。

 さて、特に触れるべき曲がある。この時期に録音された Inside And Out である。これが実に良いのだ。アルバムには収録されず3曲入りEP盤としてリリース(写真はカナダ Atlantic EP1800 青色ディスク)された。前半の12弦ギターによるバラードは美しく、後半アップテンポに変わりシンセやギターソロが入るところもスリリングでカッコイイ。特にハケット先生のギタープレイは特筆に値する。当時のブートレグを聞くとライブでも演奏していたようだ。ジェネシスらしい曲でお勧めである。

 そして、ハケット先生がスタジオ録音盤に参加したのはここまで。彼の脱退によりその後のジェネシスは違ったサウンドを作り上げていく。

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