(原題 Yessongs)
アルバム「危機」のリリース後の1973年、ほぼ時を同じくしてユーライア・ヒープとイエスが来日することになっていた。ミュージックライフや音楽専科という雑誌は来日前の特集記事を載せていたが、ほとんどがヒープを取り扱ったものだった。あるラジオ・インタビューの中でヒープのメンバーがイエスのことを聞かれ、"Good, but young.(良いけど、若い。)"と、ある意味上から目線で答えているのを聞いた。それが、来日公演を終えてからの記事は圧倒的にイエス寄りに変わったのである。それほどイエスの来日は衝撃的で素晴らしものだったのだ。実際に日本公演に行ってきた人の話を間接的に聞いたことがあったが、バンドのことをよく知らずにイエスのライブに行き、事後アルバムを買って聴いたら全く同じ演奏だったのでひどく驚いたとのことだった。そう、彼らのライブは、スタジオ盤と寸分違わない演奏力をその魅力の一つとしていたのである。
その魅力を実際に知ることができたのが74年リリースのライブアルバム「イエスソングス」である。当時LP3枚組は高校生の小遣いでは高嶺の花。しかし、誕生日か何かにつけ込んで購入したと思う。余談だが私の住んでいたところでは、予約特典としてジャケットのイラストとメンバーの写真がレイアウトされた大型ポスターの木製パネルがついていて、その後数年にわたり自分の部屋に飾られていた。内包のブックレットとジャケットのイラスト、そして部屋の中のパネルが、イエスのコンサートを聴く雰囲気作りになったのは間違いない。
前述のスタジオ盤と寸分違わない演奏ということについて触れると、私の感想は、ライブ盤の方が結構荒い演奏。しかし、それはライブならではのノリが感じられるということだろう。また、クリスの歌声がジョン以上にジョン風であること。最初、「遙かなる想い出」 にハモりが入っていることにライブ盤にもかかわらずジョンがオーバーダブしたのかと思ったが、実はクリスが歌っていて、それもベースを弾きながらなのである。それが分かった時に、完全脱帽であった。この曲を高校生の私達もコピーし学祭で演奏したが、本当に難しかった。出だしのフレーズが裏から入っているのか、表からなのかということだけでも検討にかなりの時間がかかったものだ。こうした曲を演奏をしながら歌うとは、まして写真を見るとクリスの派手に動く様が感じられ、後にビデオ版「イエスソングス」を見たときにはっきりしたが、彼はよく動き回る。そしてあの複雑なベース演奏。プロだと思った。同じことがドラムスのアラン・ホワイトにも言える。新ドラマーとして迎え入れられ、ツアー本番まで2~3日しか猶予のない中で曲を覚えたそうだ。「遙かなる想い出」だけ間に合わず、結果ブルーフォード演奏テイクが収録されたとか。彼もプロだ。仕掛けのたくさんあるイエスの楽曲をそんな短時間でこなすとは。しかし、本音を言うと、私はアランのロック的ドラムより、ビルのあのタイトなドラミングが好き。本当はビルのドラムによる一連の曲をライブで聴きたかった。
そうは言っても、このアルバムに関してはイエスに対する新たな理解を図ることができた。そういう意味でも忘れられないアルバムである。
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その魅力を実際に知ることができたのが74年リリースのライブアルバム「イエスソングス」である。当時LP3枚組は高校生の小遣いでは高嶺の花。しかし、誕生日か何かにつけ込んで購入したと思う。余談だが私の住んでいたところでは、予約特典としてジャケットのイラストとメンバーの写真がレイアウトされた大型ポスターの木製パネルがついていて、その後数年にわたり自分の部屋に飾られていた。内包のブックレットとジャケットのイラスト、そして部屋の中のパネルが、イエスのコンサートを聴く雰囲気作りになったのは間違いない。
前述のスタジオ盤と寸分違わない演奏ということについて触れると、私の感想は、ライブ盤の方が結構荒い演奏。しかし、それはライブならではのノリが感じられるということだろう。また、クリスの歌声がジョン以上にジョン風であること。最初、「遙かなる想い出」 にハモりが入っていることにライブ盤にもかかわらずジョンがオーバーダブしたのかと思ったが、実はクリスが歌っていて、それもベースを弾きながらなのである。それが分かった時に、完全脱帽であった。この曲を高校生の私達もコピーし学祭で演奏したが、本当に難しかった。出だしのフレーズが裏から入っているのか、表からなのかということだけでも検討にかなりの時間がかかったものだ。こうした曲を演奏をしながら歌うとは、まして写真を見るとクリスの派手に動く様が感じられ、後にビデオ版「イエスソングス」を見たときにはっきりしたが、彼はよく動き回る。そしてあの複雑なベース演奏。プロだと思った。同じことがドラムスのアラン・ホワイトにも言える。新ドラマーとして迎え入れられ、ツアー本番まで2~3日しか猶予のない中で曲を覚えたそうだ。「遙かなる想い出」だけ間に合わず、結果ブルーフォード演奏テイクが収録されたとか。彼もプロだ。仕掛けのたくさんあるイエスの楽曲をそんな短時間でこなすとは。しかし、本音を言うと、私はアランのロック的ドラムより、ビルのあのタイトなドラミングが好き。本当はビルのドラムによる一連の曲をライブで聴きたかった。
そうは言っても、このアルバムに関してはイエスに対する新たな理解を図ることができた。そういう意味でも忘れられないアルバムである。