■準々決勝
ブラジルvsオランダ 1-2
リーダーの不在と組織の弊害
今大会No.1の戦いぶりと思っていたブラジルがあっさり敗れた。前半は
ロビーニョのシュートで1点を奪い、攻守ともにドイツを圧倒していた。わたしはブラジルの勝利を疑わなかった。
ところが後半、オウンゴールで1点を失い同点にされる。少しリズムの出てきたオランダ。でもまだまだ浮き足立つ状況ではなかったにもかかわらず、
ロッベンのコーナーキックを
カイトが頭で流したボールを、本当にわずかな距離しかないのに、
スナイデルが狙い済ましたヘッドでゴール。逆転を許した5分後ドイツの激しいチェックと得点を奪えない苛立ちが必要以上に募り、
フェリペ・メロが
ロッベンの脚をスパイクで蹴りつけ、
西村主審は当然の一発レッドカードを与える。
これが最後まで響いた。1点ビハインドのブラジルはに1人少ない状況でも天をとりに行かねばならないが、思うようにならない。攻撃にあせりが見え始めるが、本調子には程遠い
カカにもいつものキレと決定力はなく、チームに範を示し引っ張るまでの力はなかった。
今までのブラジルが何人もの天才的大スター選手を擁していたのに比べると、いわゆる絶対的な大スターは
カカ1人しかいない。その分奔放さを抑えて、チームとしてのまとまりを重視した組織的なサッカーを
ドゥンガは目指した。
ここまで先制し勝ち続けたことでうまく回っていたが、歯車が狂ったときに立て直すべき手立てがなかった。これまでのブラジルのように個の力での突破もできなければ、チームを落ち着かせる
ドゥンガのようなリーダーも不在で、経験豊富なオランダの必死の戦いぶりに対しわれを失った
ロビーニョや
フェリペ・メロのような選手度の動揺を落ち着かせるすべもなかった。
組織というのは作り上げるのは難しいが崩壊させるのは簡単だ。サッカーに限らない。
1人退場となったことで、今まで見えなかったブラジルの唯一の弱点が露呈してしまった格好だ。サッカーの質自体はブラジルのほうが上回っていたと思う。
オランダでは
スナイデルのセンス、動きには目を見張るものがあった。