■前篇■は
こちら。
このコースの肝
事前に確認した
コース図などから16㎞過ぎと、2つ目のお折り返し後28km過ぎ、同じ場所だが、ここに2つの大きな山があることはわかっていた。
ただ土地勘もなくコース試走もしてないので、実際に走るまでそれがどういう場所でどのくらいキツイのか実感できていなかった。
今あらためてコース図を見ながら走った経験を重ね合わせてみる。確かにここが一番きつかった。それは名阪国道を跨ぐ白川大橋へと続く坂道だ。1.5㎞にわたり60m以上を登る(降りる)ことになる。
35kmという最終盤地点から続くそれよりはやや緩い坂がきつかったというランナーの声も多く聞かれた。わたし自身はレース前の時点ではむしろこちらを強く警戒していた。いつも30㎞過ぎから大きく失速していたからだ。だからここまで足を残しておく必要があると考えていた。その甲斐あってか、この坂はあまりつらいと感じなかった。
けれども、実は感じなかった気がするだけかもしれない。なぜなら36~37㎞のラップはレース中最も遅かった(6分10秒)のだから。
ちなみにこのレースで6分台のラップは2度しかなかった(これはわたしにとって画期的!)のだが、もう1度は27~28kmの6分03秒。
2つのアクシデント
予期せぬアクシデントも2度あった。
1つは、フルマラソンのときには必ず持っているザバスの
ピット・イン・リキッドを落としてしまったこと。後ろから続々とランナーが押し寄せてくるなかを、立ち止まり「すいませーん」と声をかけながら逆送するのは一苦労だった(迷惑だったと思う。すみませんでした)。
さらにもうひとつ。これは文字通り痛かった。給水を取ろうとテーブルに近づいたら、前を走りコップを取ったランナーが突然立ち止まったのだ。よけようとしたが、
左足を彼の(おそらくは)足にしたたかぶつけた。親指以下数本が痛くてしばらく普通に走れなかった(相手にはダメージはなかったようだ)。
ここまできて、こんなことでサブ4を逃したら悔やみきれないと思い、足を引きずりながら必死で走った。しばらくしたら徐々に痛みが薄れてくれてラッキーだった。
ひょっとしたら
6分台のラップになったのはこの2度のアクシデントのときかもしれないとも思う。早々にできた足のマメはそれ以上悪化せず、だましだましこらえられるくらいの痛みにとどまっていた。携帯したバンドエイドは使わずに済んだ。
骨盤前傾とは足首を見つめ続けることと見つけたり
余力を残しているイメージはあったけれど、折り返し後、白川大橋へ続く坂は勿論楽ではなかった。この坂も含めて苦しい登りなどでは特に「骨盤前傾、骨盤前傾」と頭の中で唱えながら、身体を--つまりわたしとしては骨盤を--前傾させているイメージで、周りの景色や応援には目もくれず、前を行くランナーの足首のあたりをただひたすら見つめながら走った。
それが骨盤前傾のせいかどうかはともかく、この走り方によって集中して前を行くランナーを追ったことが、走りのバランスを整え無駄を少なくしてタイムロスを抑えることににつながったのは間違いないと思う。
なぜそんなことを思い付いたかといえば、やはり小出監督の本に「少し頭を下げて走るといい」場合もあると書いてあったのをなんとなく覚えていたからだった。
今まさにその本「マラソンは毎日走っても完走できない」を手に取り、該当箇所を探してみた。
ありました。79ページ。
「実は、走っている途中で苦しくなったときに、下を見るのも疲労を早く回復するコツです。(中略)目線を下げることにって体が自然と前に進むんです」
ビンゴ!
「沿道ボランティア」に感謝
そろいのピンクのジャケットを着た若い人たちが
「沿道ボランティア」としてコース沿いに10mおきくらいに立ってランナーを誘導し見守っていた。高校生か大学生か、そんなふうに見えたけど、特に後半、彼らの元気のいい声援とハイタッチでの応援

にずいぶん元気をもらった。
これまで出場した大会でも、関係者の方で大きな声でランナーを鼓舞する方はいらしたけれども、今回の奈良みたいに、多くのボランティアから次々と声をかけられるようなことはなかった。
わたし自身は初めての経験でこれはとてもいいと思った。ちゃんとランナーを見ながら声をかけていた。本当に自分を応援してくれているんだと思えた。
この行為は、想像だけれども、一人ひとりが感じ・考えて応援を始めたんじゃないかと思う。それが自然に共鳴し広がってランナーを次々応援するラインとなったんではないかと思う。というのもこのレースの最初から最後までそういう応援だと感じたわけではなかったから。後半苦しいけど楽しく、だから頑張るランナーを見て反応したんだと思うのだ。
だから本当に気持ちがこもっていた。
奈良の若い人たちはすばらしかった。深謝。
Qちゃんとキヨシロウ(?)にもお礼を。
行きと帰り、2度お会いしたキヨシロウ・パフォーマンスのお兄さん。どうもありがとう! 元気が2度出ました。戻りの時は彼のテンションもさらに上がってた様で気合のハイタッチ。楽しかった。
「いびがわマラソン」に続き、この日もQちゃんとも2回ハイタッチ。相変わらず元気だったなあ。ジョグノートのコメント読んでても、みんなQちゃんとのハイタッチに言及してる。元気を振りまく、まさにマラソン界の天使といってもいいくらいだ。
最後までペースは落ちず
結果からみると、25~30㎞と35~40kmは27分30秒(5分30秒/㎞)を超えてしまったけれど、極端にペースダウンすることなく坂も登り切り35㎞地点。
残り5㎞からは意識してスピードを上げた。よく覚えていないが、
コース図を見ると37kmあたりからゆるやかな下りになっている。
紙コップや持参したジェルを平気で足元に捨て続けている、飛びきりマナーの悪いランナーを見つけて、「絶対負けたくない、目標にしてやろう」と思ったことも頑張れた一因かもしれない。
そのランナーはマナーの悪さとは裏腹に、仲間を見つけて「一緒に3時間50分切ろう。大丈夫だよ、いけるって、がんばろう!」と鼓舞し競技場への坂をともに駆けあがって行った。彼らとは一進一退を繰り返していたのだが、この上り坂でちょっと引き離された。
ランナー体型で、ベテランランナーに違いない。それでも、そういうランナーに負けたくなかった。
気持ちが切れそうになったけど、悔しさもバネに「とにかく最後まであきらめないで走ろう」と力を振り絞った。競技場に入ると、なぜか知らないが彼らの姿がすぐ近くにあった。ゴールゲートへと向かう直線へ。
全速力で走った。抜いた。そのままゴールを走りぬけた。
完走者にはメダルとタオルをかけてくれる。メダル裏は木製でゴールタイムを記入できるようになっている。
実はランネットの正式タイムより記録証のタイム(いずれもネット)は1秒速い。
もちろん記録証のタイムを書きこんだ。
最後になりましたが、沿道で暑い応援を送ってもらった奈良市民の皆さん、ボランティア、大会関係者の皆さん、たいへん世話になりました。心よりお礼申し上げます。
楽しいレースをありがとうございました。
〈おしまい〉