
滅多に見られない(対戦できない)ブラジル戦なのに、怪我の香川はともかく、本田も長友も武藤も柿谷もベンチスタート。
アジアカップ連覇に向けて、タイミング的に選手選考のためのテストをせざるを得ないとアギーレ監督は言う。とすれば、この対戦は想定外で棚からぼた餅でセットできたってことなのか?
そうだとしても、ファンからすれば滅多にないブラジルのようなチームとの対戦をアマチュアチーム相手の練習試合のように扱われるのは残念で仕方ない。わざわざ日本からシンガポールへ行ったサポーターの落胆は想像してあまりある。
アジアカップ優勝はディフェンディングチャンピオンとして当然の目標だが、こんな稀有な機会を無にしていい理由にはならない。
言葉通り「勝ちに行く」ための最善のメンバーで望まなくてなんの意味がある?
アギーレ監督にはそのことがわかっていない気がする。日本における代表戦の位置付けが。その辺はメキシコとは大きく違うだろう。そこは招聘した協会がきちんと説明しなくてはならない。
本田やハーフナーは今はクラブでの立ち位置が重要な局面で、極端に言えば今の時期代表に呼ばれなくてもいいくらいの気持ちかもしれない。事実そう窺わせる発言をしている。
本田は昨シーズンのどん底の評価を見事に覆してミランの英雄となりつつある。だが、まだ序盤だ。ここで怪我などしたら元も子もない。高まった評価も一気に無になりかねない。「怪我だからしかたない」なんてイタリア人は日本選手を大目に見てなどくれないし、日本サッカー協会も何もしてくれない(しようもない)。大事なシーズンだ。
ハーフナーも代表のことを聞かれて「今はあんまり・・・チームで結果を出すことが一番」とか言っていた。移籍したばかりでレギュラー定着もままならない状況。そりゃあクラブの試合のほうが今は大事だろう。彼もW杯前から散々叩かれてきたわけだし、「代表は今はいいや」と思って当然だと思う。
それでも呼ばれれば来ざるを得ないし、来た以上何かを持ち帰らなくては意味がない。
にもかかわらずハーフナーなんてまったく試合に出してももらえず疲れただけだ(極端に言えば)。本田は怪我だけは避けたいと思ってたから、そこは良かったろうけど、この0-4という結果では、差し引きして収穫は多くないだろう。ネイマールの1試合4点はロマーリオ以来というからブラジルサッカー史上にしても滅多にあることではない。ロマーリオと言えばドゥンガの現役時代の同僚だ。
何も彼らの代表への思いを疑ってるわけじゃないが、現実問題というのは誰にでもある。そりゃあ代表でやれるならみんなやりたいに決まっている。
個人的に元々半信半疑だったけれど、アギーレへの期待が一気にしぼんだことを告白する。選手、サポーター、協会自身もそうじやないかと推測する。
アジアカップに優勝するのは必ずしもそう簡単ではないと思う。しかし、これだけ言い訳にされてはアジアカップ連覇はもう当然のことという気にならざるを得ない。アギーレ監督にとって正念場となることは間違いない。
世界レベルを実感したとJリーグの若い選手たちは言ってるようで、アギーレ監督もそれを「成果」に上げているようだが、そんなものはブラジル戦で教える必要などない。これは命がけの試合というわけではないのかもしれないが単なる練習試合でもない。日の丸を背負っての試合なのだから。
と素人の私は考えるが、プロのアギーレ監督はもっと別の次元のことを考えているのかもしれない。そういう期待を残して次の代表戦、そして彼が当面の最大のターゲットにしているアジアカップの戦いを楽しみにしたい。
アジアカップ。日本のグループリーグ初戦は、来年2015年の1月12日。1月31日、Stadium Australiaで決勝戦が行われる
