香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

ライスには塩を

2014-01-30 22:01:04 | 本のこと
江國香織さんの
『抱擁、
 あるいは
 ライスには塩を』
上下

 三世代が親密に暮らす柳島家。美しく幸福な家族に
 見える彼らにはしかし、果敢に「世間」に挑んで敗北
 してきた歴史があった。母の菊乃には婚約者がいなが
 ら家出し、妊娠して実家へ戻った過去が。叔母の百合
 には嫁ぎ先で病気になり、離縁した経験がある。そし
 て、健やかに成長する子供たちにもまた、変化がおと
 ずれーーー。家族それぞれに流れる時間を細やかに豊
 かに描いた、三世代百年にわたる愛の物語。


時系列もバラバラに、家族それぞれの語り口で
章ごとに進んでいき、少しづつ事情が分かっていく
まるで柳島家の人たちが実在しているようで
夢中になって上下巻を読み進めて行く
特殊な環境と、資産家ならではの鷹揚さ
みんなが「普通の人」ではないのかもしれない
切ないほど正直でやさしく美しい

好きな文章、感傷的に思える部分、
美しい情景の切り取り、胸が痛くなった言葉
あまりにも悲しい結果や表情
たくさんの付箋をつけながら読みました

家の象徴といえるのではないかと思えたのは
食堂の窓のステンドグラスに描かれた3羽の鳩
柳島家は、いまも静かに静かに息づいていいるだろう
とてもすきになってしまいました