香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

八月の青い蝶

2017-03-31 22:12:23 | 本のこと
周防柳さんの
『八月の青い蝶』



急性骨髄性白血病で自宅療養することになった亮輔は、
中学生のときに被爆していた。
大日本帝国陸軍・一〇〇式司令部偵察機搭乗員の
ひとり息子であった彼は、
当時、広島市内に住んでいたのだ。
妻と娘は、亮輔が大事にしている仏壇で、
異様に古びた標本箱を発見する。
そこには、前翅の一部が欠けた小さな青い蝶が、
ピンでとめられていた。妻も娘も知らなかったが、
それは昭和20年8月に突然断ち切られた、
切ない恋物語を記憶する大切な品だった。
昭和20年と現代の〈8月〉が
交錯しながら展開する鮮烈な長編小説。


3年前くらいに、小説すばる新人賞を受賞された作品
その時に、読んでみたいとは思っていたのを
すっかりわすれていたら、友人に勧められたのだった

圧倒された。
戦争の、それも広島での子供時代
儚い恋
軍人の父親の死
被爆者としての生活、家族
たくさんの物事が切々と描かれていて
つらいけど、悲しいけど、
生きていくんだと、顔をあげる

ネタバレになるのだけど、
気持ちにグサッとくる一部を。。。

生きる、ということは、
わしはいままでええことじゃと思っておったが、
どうやらそうでもないらしい。
それはええことではなく、
むしろ、後ろめたいということばのほうに
近いものであることを亮輔は知った。
そして、同時に、それがどんなに後ろめたくても、
つらくても、なにがあろうとも、
ぜったいに自分から手放してはならぬものであることを知った。
なにがなんでも食らいついておらねばならぬと知った。
それが生きることである、と思った。


明日から、甥っ子と義妹とプチッと2泊3日の旅に
走れないかもしれないけど、
途中、歩くかもしれないけど、
一応、シューズとウェアは持っていくつもり