心療内科デー。4時間半待ち。「台北國立故宮博物院展」の白菜は240分待ちだったそうだが、クマ医師の診察はそれを超越した。
クマ医師>白菜
前の患者が嗚咽系だと長引く。だんまり系も然り。
今日は夏の一人旅(with吉熊)の計画を立てた。
今年は東北を一巡してこようかと。
五能線に乗ってみたいのである。窓辺の席で日本海の地平線を見ながら「サウダージ」なんて聞きたいな。
「寂しい・・・大丈夫・・・寂しい」とか大熱唱しちゃうの。心の中で。
おおよそのプランを構築し、予算を立てて、あとはホテルと電車選び。
やっべ~。マジで楽しみ。ツアーも確かに合理的なんだが、計画するワクワク感も好き。
でも計画性ないからなあ。危うい・・・大丈夫?・・・危うい・・・にならないようにしないと。
さて、診察。
「こんばんは~」
・・・。
クマ医師、日焼けしてるんだけど。
あと無精髭があやしい。
あやしい・・・大丈夫・・・あやしい・・・じゃね?
危険な感じを孕んでいなくもない。何があったんだろう。
今日は時間も時間だったので、確認に徹していたクマ医師と私。
会社で切れたことが引き金となり、抑うつ状態になった。気付けばあの件から昨日で丸9年が経過した。
通院歴、8年。クマ医師と築いた8年。人生の4分の1以上の時間はクマ医師の治療を受けてきたのである。
引き金になったあの件ばかりではなく、クマ医師によってそもそもの私の考え方をじっくりと矯正することにより、ようやく今の私が構築された。
言い方は悪いが、「今の私の考え方」というものは、きっとクマ医師のある意味「作品」なのである。
あとそれだけではなく、きっと吉熊上司の底深い愛情があったからこそ。
作成した書類を夕方に提出し、今、吉熊上司に確認してもらっているのだが、定時に帰る私のような部下を許してくださるのだもの・・・。
生理前の不眠について。
「寝るのを諦めて本を読んだら眠れました」
と言ったら、入院中の患者さんでもそういうことがあるらしい。
「蛍光灯を点けておくのも一つの手段なのかもしれませんね」
とクマ医師。なるほど。
薬の確認をされておしまい。
「あの~。これよろしければ」
とクマ医師。足元から何かを出しながら
「いつも遅くまでお待たせしてるので」
と手渡す。
「あー」
以前、友人わたがベトナムに行った際に現地の人が驚いたり頷いたりするとき「あー」と言っていたことを教えてくれた。
今日はあまりに驚いてしまったので、無駄にそれを再現してしまった。いきなり「あー」って言われてもクマ医師だって困るだろうよ。
ようやく自分を取り戻し、
「開けてみてもよろしいでしょうか?」
と秘書検定の面接ばりに尋ね(前傾姿勢)、開けてビックリ。
美味しそうなお菓子ではないか。
しかも私が香港であまりの混みっぷりに断念したハイティーを出すあの某ホテルのお菓子である。
「わ~!!嬉しいです。ありがとうございます!」
とお礼を言うと、クマ医師は笑った。
診察室を後にし、会計。
またしてもお土産付である。そこらへんの株主総会より素敵な対応である。
8年来の株主、長期保有者だからだろうか。そして処方薬の加減は株価?
帰り道、冷ややかなお菓子を内包した袋は梅雨の時期特有の空気に触れ、少し汗ばんでいた。
指先でそれをなぞりながら歩く。
下町特有の蚊取り線香と湿気が混ざった匂いが鼻腔を掠める。
それが引き金になったのか、闇夜のなかで、幸せな気持ちはするすると私に纏わりついていった。
処方変更なし
ゾルピデム酒石酸塩、防風通聖散、カームダン、当帰芍薬散