ゴールデンウィーク中の遭難が相次ぎ発生しニュースになっています。
直接の原因は5月としては観測史上最高?とも言われる寒気の流入による悪天候のようです。
平地?の天女さんちでも1日午後には雹が降り、激しい雨風が2日夕方まで続き
3日もはっきりしない天気だったので、高い山では大荒れだったに違いありません。
まさしく「春山でも荒れれば冬山」それも最悪の冬山だったに違いありません。
登山の遭難は遭難した人の責任だとよく言われますが、
今回はまさにその典型に違いありません。
今の天気予報の精度、登山に関する情報をちゃんとチェックしたら
錆鉄人はこんな時に「日野山(795m)」にさえ登ろうと思いません。
それは、すぐ近くにあって、いつでも登られるからでありますが、
(って、まだ今年は1回も登っていませんが・・・)
槍だって、岩手山だって、笊が岳だって、「悪天候じゃない時にいつだって登れる」はずです。
良く言われますが「山は逃げない」であります。
ニュースでは「引き返す勇気を」と盛んに言っていますが、
そんな悪天候の中で何故登山してしまったのかというと、
数泊の予定で自宅を出発してはるばると遠征して来た手前、
「また別の時に出直す時間や費用」を考えると突入してしまうのが人間の心理です。
つまりそこまで行って「引き返す」のは実際には至難の決断になるのです。
この時、悪天候は大したことはないだろうという予断に変わり
たとえ悪天候であっても「自分は大丈夫だという過信」がうまれてしまうものなのです。
山に登れば山の大きさに対して人間が小さなことを実感しますが
大自然の猛威の前では人間は無力だという事を実感した時はもう遅いのです。
つまり、本当に必要なのは「計画していても出かけない勇気」なのです。
錆鉄人は百名山全山日帰りという事を考えだし日本で初めて実行しましたが、
計画を立てたら1週間以上前から天気予報をつぶさにチェックし、
天気図と天気の流れを読み、最終的に金曜日の朝に天気予報を確認して実行するかどうかを決めました。
今の天気予報で翌日の天気予報が大きく外れる事はありませんから
登山日に日本が高気圧で覆われていればまずは問題ありません。
(それでも「山の天気」は微妙なので、天気の回復が遅れて登山開始時に雨が降っていたりすることはありましたが)
それは「死ぬのが怖かった」からです。
天気さえ良ければ登山の危険は落石ぐらいで、ほとんどありませんから。
今はNHKの影響かヘルメットをかぶって登山している人が多くなりました。
白山の観光新道でさえかなりの人がヘルメットをかぶっていて、笑ってしまいます。
山で落石に当たる危険性は交通事故より少ないと思うし
白山の観光新道で落石にあう可能性は隕石に当たる位小さな確率だと思います。
(錆鉄人はヘルメット不要論者ではありません。頭部負傷に対する安全性は飛躍的に高まりますから!)
必要な装備かどうかが分からない登山者は、
(悪天候で)登っても安全かどうかも分からない、考えないで登山しているのではないかと考えてしまいます。
「横断歩道みんなで渡れば怖くない」といいますが、安全を確認しないで渡る馬鹿はいないはず。
「悪天候みんなが登るから怖くない」では決してない事を再認識すべき遭難でありました。
ちなみに錆鉄人の場合、悪天候でも登山したのは数回
吹雪の中での久住山登山
一度も登った事のなかった山でしたが、九州遠征最後の百名山だったものですから
登山する人が数パーティあったので登りました。
風雨のなかの涸沢紅葉幕営
午後からの回復を良そうして出発したのですが夜中まで風雨が続きました。
悪天候といっても9月下旬なので死ぬことはありませんが
濡れた身体がテントの中でいつまでも寒かったです。
戸隠・高妻山
戸隠キャンプ場を出発して奥宮を過ぎたあたりで雨が降って来たのですが
ここまで来たのだから登ってしまいましょうと天女も言うので登りました。
その後は天気も回復して2山を日帰り登山して帰宅しました。
強風の5月槍ヶ岳登山
5月10日頃だったと思います。
槍沢ロッジでアイゼンを装着して雪崩のデブリを越え
大曲をすぎて急坂の雪面を登る時になると、快晴なのに吹き飛ばされそうな強風
10歩ほど登っては耐風姿勢を繰り返していましたが、寒くて鼻水が止まりませんでした。
しかしながら、垂れた鼻水は強風が吹き飛ばしてくれました。
おまけに帽子も吹き飛ばされ見えなくなってしまいました。
(サロマ湖100kmの記念の防止だったのですが・・・大事なものは登山に持って行っては駄目でしょう!)
というのに山荘に着いたらぴたりと風が治まってしまいました。
凍えた身体を貸し切り状態の宿泊棟のストーブで、持ってきた梅酒を温めて飲んでいて
登頂は翌日にしました。
百名山に合計200回位登っていると思いますが、悪天候の記憶はこれ位です。
最後に錆鉄人の造語をもう一度
「悪天候みんなが登るから怖くない」ではありません。
本当に必要なのは「計画していても(悪天候が予想されたら)出発しない勇気」です。
最後のつもりでしたが、もう少し
この「計画だから登ってしまう」は「登山ツアーの場合、ほぼ100%」です。
かの有名な「トムラウシの大量遭難死」もこれが原因でした。
(遭難者回収の翌日にトムラウシに登りましたが、山頂はガスの中でおどろおどろしい雰囲気でした)
登山ツアー参加者は体力も技術も様々なうえ、体調も様々です。
機械は部品点数が多くなれば故障率が高くなるように、
数名を超える登山ツアー(一般的には10名以上です)では、体調不良者が出る確率は飛躍的に高まります。
悪天候に体調不良者が重なれば遭難しないのが難しい。
錆鉄人は登山ツアーには絶対に参加しません。
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