(あまりにも誤字が多かったので19年9月12日訂正しました)
なぜ十辺舎四苦八苦なのかというと・・・
お察しの通りで、天女も笑い転げておりました。
という事で、続編に入ります。
別当出合について登山靴を履いていると
天女は「靴下がないわ!」
と言って自分のザックの中を探しますが、
肩が痛くて整骨院に通っている天女なので
愛妻家の錆鉄人がほとんどの装備を担いでいて、
天女はナップザックよりも軽いザックを担ぎ、中には雨具だけ
それも寒さ対策で上着を着ていたので入っているのはズボンだけ、
探すのに手間はかかりません。
今回は車の中に置いておく着替えしか持ってこなかったので、ほかに探す所はありません。
天女は素足で登ると言いましたが、
か弱い天女の柔らかい足の皮膚が登山靴の摩擦に耐えられるとは思えません。
愛妻家の錆鉄人は履いていた靴下を脱いで天女に渡しました。
去年の新穂高から涸沢岳日帰りをした時に、
靴下を忘れて素足で登った時と同じ登山靴だし、
その後、ターミネーター錆鉄人は足の皮膚を超耐摩耗性スキンに張り替えていたので
靴下なしでもノープロブレムなのでした。
という事で、駐車場を歩きだし、別当出合でトイレを済ませて出発。
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カメラ時刻5:47登山開始
(カメラを買って以来修正していなくて、実際の時刻とはかなり遅れていると思います)
吊り橋を渡って少し歩くと二輪草の群落があり、ほぼ開花の最盛期
「ここは不倫草はないね・・・レレレつぼみが付いている・・・」
「これは咲いていないから、子供が出来た家族草という事にしておこう!」
(不倫草は中飯場より上の登山道脇にたくさん咲いているのです。)
すぐに登りと下りが分かれる分岐に着き、急な石段の登りになり、
登りの弱い天女は息がハーハーになりました。
愛妻家の錆鉄人はすかさず
「低血圧は大丈夫?」
「今の所大丈夫みたい」
「(サイズ違いの靴下なので)靴擦れは大丈夫?」
と気遣い、さらに
「肩は痛くない?」
(ザックの重量込みで2kgもないはずですが、天女は肩凝りが続いているのです)
この時点ではいずれも問題なく、天女はハーハー登って行きました。
すると、室堂に宿泊した人でしょうか、登山者が降りてきました。
通り過ぎてから天女が言いました。
「あの人は何で登山しているのかしら?」
「おかあさんは何で登山しているの?」
「おとうさんが登るというから!」
「夫は何で登るか分かる?」
「私の健康の為でしょう。」
錆鉄人の洗脳作戦は成功しているようです。
6:15 中飯場に到着
ここで上着を脱いでTシャツになりました。
天女の腕カバーは娘が小学生の頃のタイツです。
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天女は朝すぐには食欲がなく、ここまでバナナを食べたっきりでしたが、
やはり食欲がないのと言って食べませんでした。
(錆鉄人理論「足を前に出すのは自分の意志なので心臓が動いている限り歩ける」を持ち出すまでもなく
食べるのも満腹でない限り意志があれば食べられるものであり、
ターミネーター錆鉄人は起きてすぐにでもビフテキの食事が可能です。)
中飯場から先もそんなに急な登りとは思いませんが、
天女「おばさん」のペースは落ちるばかり・・・
ワー、雲海がきれいだよ!
錆鉄人は少しでも天女を喜ばせようと教えると
天女は足を止めて見惚れたふりで休んでいます。
やっと歩き出すと、そこかしこでウグイスの鳴き声が聞こえます。
「ウグイスって鳴き声はしても滅多に姿を見せないね」
しまったー!余計な事を言ってしまった・・・
案の定、天女は足を止めてウグイス探し
天女を歩かせるのに「四苦八苦」して「一句」ひねりました。
ウグイスに 聞き惚れたふり 足止める
「もうすぐ別当覗きだよ。」
「私、まだそこから覗いた事がないのよ!」
美味い理由でまたまた休憩になりました。
しかたがありません、一緒に覗き込み、
記念撮影をしようとしたら下山してきた男性がシャッターを押してくれました。
別当覗きから数百メートル上から雪渓と夏道を交互に歩くようになりました。
(そこまではほとんど登山道に雪はありません)
7:20 甚之助ヒュッテにやっと到着・・・
ここは冬季トイレが使用可能、何とトイレットペーパーも置いてありました。
錆鉄人はおにぎりを食べましたが天女はまだ食欲がありません。
風が強くて寒くなったのでここで上着を着用。
甚之助ヒュッテは大部分が雪渓歩きになりますが
ほぼ夏道をトレースしています。
急な雪渓のトラバースにはスコップで掘ったステップがありました。
雪はまだかなり締っていましたが、完全に踏み跡があるのでノーアイゼンでノープロブレム
やがて十二曲がりの急坂になりました。
下のほうに一部雪渓の直登が残っているだけでほとんどは夏道ですが
直登を登り切った所で天女は休みたいと言います。
「もう少し行ったら延命水だから、そこまで頑張って」
もう少しのはずですが、天女の歩みは遅く・・・
やっと到着したら石に座り込んでしまいました。
愛妻家の錆鉄人は天女のザックからマグカップを取り出し
延命水を汲んで
「おかあさん、長生きしてね!」
天女は
「ああおいしい!」
そのカップでもう一度延命水を汲んで錆鉄人も飲みました。
「おとうさんも長生きしてね!」
これで2人とも長生きできるハズ!
そして、天女がおなかが空いてきたというので
(時間稼ぎ作戦かもしれませんが、天女はここまでバナナ1本食べただけだったような・・・)
錆鉄人はザックからおにぎりを取り出して渡しました。
錆鉄人も延命水を飲みながら、おにぎりを食べました。
延命水から黒ボコ岩までは僅かです。
(十二曲がりのうちの2~3曲がりだったような・・・)
ここで休憩する人が多いのですが、
天女は延命水で十分休憩したので、記念撮影だけして弥陀ヶ原の雪原へ進みました。
弥陀ヶ原は平坦なので天女もそれなりに進み、五葉坂に取り付きました。
天女のザックの中身はほぼ空気です。
五葉坂は下部だけ雪が残っていますが、あとは岩の多いやや急な登りになります。
疲れた、休みたいという天女をなだめながら登って、
8:53 やっと室堂に到着しました。
別当出合から3時間以上というのは新記録ですが(これまでは大抵2時間前後でした)
今の天女にしては十分頑張った結果です。
天女はトイレに行って近くの雪渓の雪で手を洗いましたが、
室堂の角に手洗い用の水タンクが置いてありました。
そのまま横を通って室堂の前に進みました。
去年6月末か7月初めに来た時に、
神社の建て替え工事をしていましたが、新しくなっていました。
頂上は油断しているとガスに覆われてしまう事があるので、見えている時には必ず写真を撮ります。
錆鉄人は前に進んで鳥居の所で拝礼し、頂上への最後の登りに取り掛かろうとしました、
が・・・
いつもは一緒に拝礼する天女がいません。
ベンチに座り込んで動きません。
「私はここにいる。おとうさんだけ登ってきて。」
「夫はおかあさんと一緒に登りたい!」
天女は結婚以来36年、錆鉄人の言う事に一度もイヤと言った事はありません。
立ち上がって歩き出しました。
「つらい人生だね!」
錆鉄人がこの日何度目かのこの言葉を繰り返しましたが、天女は微笑むだけ。
「私、富士山に登れそうもないわ・・・」
(夏休みにミュンヘンから帰って来る天使たちと富士山に登る計画なのでした。)
それでも天上界と地上を分ける青石に到着。
青石で頂上までのほぼ1/3
天女も「里帰り」して元気が出たのか、
愛妻家の錆鉄人の励ましに頑張って石畳の道を登り、
高天原を越えて2人の登山者を追い越しました。
奥宮でちゃんと帽子を取って拝礼する天女
錆鉄人は家族の事、天女の事、自分の事を様々お願いするので長い拝礼になるのですが、
天女はさらに長い拝礼をしています。
(決して時間稼ぎではありません、もう頂上ですから・・・)
9:45 遂に登頂です。
錆鉄人はこれまで40回位登っていると思いますが、
天女も10回目位になったはずです。
大汝方面の眺め
翠ヶ池はまだ雪の下で痕跡さえありません。
池のブルーがきれいなのでズームして撮影
(紺屋ヶ池だったか?地図でご確認下さい)
実際はもっときれいなコバルトブルーでした!
頂上からは北アルプスや御嶽山も見えていましたが、
薄霞みで写真ではあまりくっきりとは見えなかったので割愛します。
続いて、今回のハイライト
頂上の観音様を探します。
頂上から剣が峰のほうにちょっと危険な岩場を少し降りた所には亀がはめ込んでありますが
観音様が安置されている事は最近になって知ったので、
それを拝もうというのが今回のハイライトでした。
観音様は頂上の標柱より室堂側に少し下った所にありました。
きっと最近に(去年とか)登山者のどなたかが安置された観音様だろうと思われます。
ここでも天女は長々とお祈りしていました。
そして方向盤のほうへ進んで、くぼ地で風を避けて昼食です。
天女は疲れているので、錆鉄人が昼食の準備を全部しました。
と言っても、お湯を沸かしてカップラーメンを作るだけなので、
威張って言うほどの事はありませんが・・・
「おとうさん、ありがとう」
今回は生協のカレーヌードルと「6種野菜おいしいヌードル」です。
山は何でもおいしくなる魔法のレストラン
暖かいヌードルを半分ずつ食べ、コーヒーも飲んで天女も元気を回復!
「おとうさん、ありがとう。おかげで白山に登れたわ。」
10:23 下山開始です。
元気の回復した天女は20分足らずで室堂に到着。
天女をトイレに行かせて錆鉄人は水を汲みに行きましたが、
水場の水は止まっていて汲めませんでした。
別当覗きから下った所の二輪草は咲きだしたばかりですが、
早くも不倫草を予感させる佇まい。
去年は四角関係の花までありましたから・・・
中飯場の手前から大滝をズームアップ
楽な下りでは天女は錆鉄人を待たずにすたすたと下って行きます。
登りは天女の半歩後を歩いていたのですが・・・
吊り橋を渡って・・・
12:51 やっと別当出合に戻ってきました。
「おとうさん、ありがとう。優貴君たちと富士山も登れるように頑張るわ!」
帰りはワープせず、ノンストップで走って(天女はほとんど寝てました)
2時半過ぎに帰宅しました。
天女は里帰りして若返ったはずです。
これにて、「白山道中膝栗毛」全巻の書き終わり!