最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

親権者は子供の管理をどこまですべきか

2015-04-10 13:27:02 | 日記
平成24(受)1948  損害賠償請求事件
平成27年4月9日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所

この事件は、小学生の子供が放課後に校庭でサッカーの練習をしていたところ、ボールが道路に飛び出てしまいました。そこに運悪く85歳の老人が運転するバイクの前に飛び出しました。それに驚いた運転手の老人は転倒して、その怪我がもとで死亡しました。
このときこの老人の家族が、子供の親に監督責任義務違反で損害賠償を請求しました。

これは突っ込みどころ満載な気がします。
第一に、85歳でバイクを運転していたという点です。免許がある以上、運転能力があると見なされるのでしょうが、肉体的に運転能力は本当にあったのでしょうか。
第二に、そもそもボールはこの老人に当たっていない。
第三に、85歳という高齢者が転倒してそれがもとで死亡したとするには、かなりこじつけ感がないか。
第四に、訴える相手は校庭の管理者、ここでは校長か自治体の長を施設の管理義務を怠ったとして訴えるべきではなかったのか。

間接的であっても過失傷害(刑法209条1項)は成立するようなので、第二に関しては不法行為となるかどうかは争いの余地があるかもしれません。これが成立したと仮定して、民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」となっています。ただし、要件として「侵害行為と損害との間に因果関係があるか」がありますが、第三のことからやはり無理があるとしか言いようがないと思えます。最大要求して事故による直接の怪我に留めるべきで、死亡に至ったとするのは要求しすぎでしょう。
今回の判決に関しても、どの部分に因果関係は認められないとまでは明言していませんが、民法709条の適用は認めませんでした。この点において極めて常識的かつ適切な判断だと私は思います。

そしてこの判決の中で、未成年者の行為の監督義務(民法714条 責任無能力者の監督義務者等の責任)の範囲にある程度の目星をつけた点です。この点で、判決は以下のように書いています。
危険な行為に及ばないよう日頃からCに通常のしつけをしていたというのであり,Cの本件における行為について具体的に予見可能であったなどの特別の事情があったこともうかがわれない。
いたずらでやった行為であるならばまだしも、子供の過失でかつ親が日常的に教育をしていれば良いことになります。これもまた常識的でかつ適切な判断だと思います。

第一小法廷裁判官全員一致の意見です。
裁判長裁判官 山浦善樹
裁判官 櫻井龍子
裁判官 金築誠志
裁判官 池上政幸