平成29(あ)1079 詐欺未遂被告事件
平成29年12月11日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 福岡高等裁判所
共犯者による欺罔行為がされた後,だまされたふり作戦が開始されたことを認識せずに共犯者らと共謀の上,詐欺を完遂する上で欺罔行為と一体のものとして予定されていた被害者から発送された荷物の受領行為に関与したなどの本件事実関係(判文参照)の下では,だまされたふり作戦の開始いかんにかかわらず,被告人はその加功前の欺罔行為の点も含め詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負う
朝日新聞の報道では以下の通りです。
電話などで言葉巧みに現金をだまし取ろうとする特殊詐欺の捜査で、被害者が警察に協力し、容疑者からの電話に引っかかったふりをして逮捕に結びつける「だまされたふり作戦」。
この手法の是非が争われた裁判で、最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)は、手法に問題はなく、詐欺未遂罪が成立するとの初判断を11日付の決定で示した。
神奈川県警が2009年に始め、全国へ広まった手法だが、裁判所によっては「被害者は実際にはだまされていない」として無罪判決も出ていた。今回も一審は無罪、二審は有罪と結論が分かれていた。
決定によると、福岡県大野城市の女性は15年、氏名不詳者から電話で「ロト6が必ず当たる特別抽選に参加できる」と言われ、現金120万円を要求された。警察に相談し、だまされたふりをして現金の入っていない箱を送ったところ、箱を受け取った兵庫県尼崎市の男(36)が逮捕された。
第三小法廷は、電話でだます行為も荷物を受け取る行為も一連の詐欺行為だと指摘。詐欺と認識しながら荷物を受け取れば、中に現金が入っていなくても、受け取り役の刑事責任を問えると結論づけた。
福岡地裁では、なぜか受け子は無罪になったようです。その理由はこちら。
それに対して最高裁は次のように述べています。
前記の事実関係によれば,被告人は,本件詐欺につき,共犯者による本 件欺罔行為がされた後,だまされたふり作戦が開始されたことを認識せずに,共犯 者らと共謀の上,本件詐欺を完遂する上で本件欺罔行為と一体のものとして予定さ れていた本件受領行為に関与している。そうすると,だまされたふり作戦の開始い かんにかかわらず,被告人は,その加功前の本件欺罔行為の点も含めた本件詐欺に つき,詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負うと解するのが相当である。
まあ、そうでしょう。過去に麻薬の国際郵便による密輸事件も、有罪になっていますし、原審がおかしかったとしか思えません。
第三小法廷
裁判長裁判官 山崎敏充
裁判官 岡部喜代子
裁判官 木内道祥
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一
平成29年12月11日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 福岡高等裁判所
共犯者による欺罔行為がされた後,だまされたふり作戦が開始されたことを認識せずに共犯者らと共謀の上,詐欺を完遂する上で欺罔行為と一体のものとして予定されていた被害者から発送された荷物の受領行為に関与したなどの本件事実関係(判文参照)の下では,だまされたふり作戦の開始いかんにかかわらず,被告人はその加功前の欺罔行為の点も含め詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負う
朝日新聞の報道では以下の通りです。
電話などで言葉巧みに現金をだまし取ろうとする特殊詐欺の捜査で、被害者が警察に協力し、容疑者からの電話に引っかかったふりをして逮捕に結びつける「だまされたふり作戦」。
この手法の是非が争われた裁判で、最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)は、手法に問題はなく、詐欺未遂罪が成立するとの初判断を11日付の決定で示した。
神奈川県警が2009年に始め、全国へ広まった手法だが、裁判所によっては「被害者は実際にはだまされていない」として無罪判決も出ていた。今回も一審は無罪、二審は有罪と結論が分かれていた。
決定によると、福岡県大野城市の女性は15年、氏名不詳者から電話で「ロト6が必ず当たる特別抽選に参加できる」と言われ、現金120万円を要求された。警察に相談し、だまされたふりをして現金の入っていない箱を送ったところ、箱を受け取った兵庫県尼崎市の男(36)が逮捕された。
第三小法廷は、電話でだます行為も荷物を受け取る行為も一連の詐欺行為だと指摘。詐欺と認識しながら荷物を受け取れば、中に現金が入っていなくても、受け取り役の刑事責任を問えると結論づけた。
福岡地裁では、なぜか受け子は無罪になったようです。その理由はこちら。
それに対して最高裁は次のように述べています。
前記の事実関係によれば,被告人は,本件詐欺につき,共犯者による本 件欺罔行為がされた後,だまされたふり作戦が開始されたことを認識せずに,共犯 者らと共謀の上,本件詐欺を完遂する上で本件欺罔行為と一体のものとして予定さ れていた本件受領行為に関与している。そうすると,だまされたふり作戦の開始い かんにかかわらず,被告人は,その加功前の本件欺罔行為の点も含めた本件詐欺に つき,詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負うと解するのが相当である。
まあ、そうでしょう。過去に麻薬の国際郵便による密輸事件も、有罪になっていますし、原審がおかしかったとしか思えません。
第三小法廷
裁判長裁判官 山崎敏充
裁判官 岡部喜代子
裁判官 木内道祥
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一