最高裁判所裁判官の暴走を許さない

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当然判決 粉飾決算の損害金額の認定

2018-10-29 19:17:03 | 日記
平成29(受)1496  各損害賠償請求事件
平成30年10月11日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所
金融商品取引法18条1項に基づく損害賠償請求訴訟において,裁判所は,民訴法248条の類推適用により金融商品取引法19条2項の賠償の責めに任じない損害の額として相当な額を認定することができる

時事通信の報道です。
HIによる有価証券報告書の虚偽記載で株価が下落し損害を受けたとして、株主が同社に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は11日、株主側の上告を棄却した。これで、約140人に総額約6000万円を支払うようIHIに命じた二審東京高裁判決が確定した。
 争点は、新株を取得していた株主の損害額の算定方法。業績悪化など、虚偽記載以外の要因での下落分を、二審が独自に算出して減額したため、株主側が上告していた。
 池上裁判長は「損害額の立証が極めて困難な場合、裁判所は相当な額を認定できる」との初判断を示し、二審を支持した。
 一、二審判決によると、IHIは2006年9月中間期と07年3月期決算で、赤字を黒字と偽るなどした有価証券報告書を提出。08年金融庁から約16億円の課徴金納付命令を受けた。


事実確認から見ましょう。
1 会社が不正会計を行い、それが暴露されて株価が急落。そのせいで株主が不利益を受けたとして、金融商品取引法23条の2により読み替えて適用される同法18条1項に基づく損害賠償等を求めました。
2 会社は、金商法18条1項に基づく損害賠償請求訴訟において,裁判所は,民訴法248条の類推適用により,金商法19条2項の賠償の責めに任じない損害の額として相当な額を認定することができるとした原審の判断には,同条及び民訴法248条の解釈の誤りがあると主張しました。
3 金商法18条1項本文は,有価証券届出書のうちに,重要な事項について虚偽の記載があり,又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは,当該有価証券届出書の届出者は,当該有価証券を募集又は売出しに応じて取得した者に対し,損害賠償の責めに任ずる旨を規定する。

第十八条 有価証券届出書のうちに、重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは、当該有価証券届出書の届出者は、当該有価証券を当該募集又は売出しに応じて取得した者に対し、損害賠償の責めに任ずる。ただし、当該有価証券を取得した者がその取得の申込みの際記載が虚偽であり、又は欠けていることを知つていたときは、この限りでない
第十九条 前条の規定により賠償の責めに任ずべき額は、請求権者が当該有価証券の取得について支払つた額から次の各号の一に掲げる額を控除した額とする。
一 前条の規定により損害賠償を請求する時における市場価額(市場価額がないときは、その時における処分推定価額)
二 前号の時前に当該有価証券を処分した場合においては、その処分価額

物損事故のように被害総額が明確に見積もれないので、こういう規定を作ったのでしょう。

地方裁判所は次のように述べます。
金商法18条1項に基づく損害賠償請求訴訟において,請求権者の受けた損害につき,有価証券届出書の虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情により生じたことが認められる場合に,当該事情により生じた損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは,裁判所は,民訴法248条の類推適用により,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき,金商法19条2項の賠償の責めに任じない損害の額として相当な額を認定することができると解するのが相当である。



裁判官深山卓也の補足意見
金商法18条1項は,有価証券届出書に虚偽記載等があった場合に,当該届出書の届出者が,当該有価証券を発行市場で取得した者(募集又は売出しに応じて取得した者)に対して負う損害賠償責任について規定しているが,他方,同法21条の2第1項は,有価証券報告書等の書類に虚偽記載等があった場合に,当該書類の提出者が,その発行に係る有価証券を流通市場で取得した者(募集又は売出しによらないで取得した者)に対して負う損害賠償責任について規定する。
そして,金商法21条の2第3項(改正前の同条2項)は,虚偽記載等の事実が公表されたときに,公表日前1年以内に当該有価証券を取得して公表日まで引き続き所有する者は,公表日前後1か月間における当該有価証券の市場価額の平均額の差額をもって,当該書類の虚偽記載等により生じた損害の額とすることができる旨を,同条5項(改正前の同条4項)は,この場合において,当該書類の提出者は,請求権者が受けた損害の額の全部又は一部が,当該書類の虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情により生じたことを証明したときは,その全部又は一部については,賠償の責めに任じない旨をそれぞれ規定する。


計算方式ですね。

金商法18条,19条と同法21条の2は,民法709条の一般不法行為責任の特則として,金商法が規定する開示義務に違反して開示書類に虚偽記載等をした者が有価証券を取得した者に対して負う損害賠償責任について規定する点で共通の性格を有しており,

回りくどいですが、故意または過失で他人に損害を与えた場合は、賠償責任を負う民法の規定を基に金融商品取引法の18条19条があるんだと説明します。

同法19条2項と同法21条の2第5項(改正前の同条4項)は,いずれも,有価証券の取得者が提起した損害賠償請求訴訟における損害額の減免の抗弁を規定したものであって,その文言も極めて類似している。

ちょっと待ってください。文言が似ているからという理由で???

金商法19条1項と2項は,1項において,同法18条の損害賠償責任に基づく賠償責任額を法定した上で,2項において,賠償の責めに任ずべき者が有価証券届出書等の虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情による損害の発生及びその額を証明したときは,その額を法定の賠償責任額から減額して具体的な損害賠償額を算定
するという構造になっており,法廷意見が述べるとおり,賠償の責めに任ずべき者が,有価証券届出書等の虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情による損害の発生は証明したものの,当該事情により生じた損害の性質上その額の証明が極めて困難である場合には,民訴法248条の類推適用により,裁判所は,減額すべき損害の額として相当な額を認定することができると解される(同条の趣旨の理解に関わるが,この場合に,同条を類推適用するまでもなく,同条が適用されるとする見解もあり得よう。)。


この太字のところが分かりません。何が言いたいの?類推適用は必要ない?はぁ?以下グダグダ続きますが、その説明は要ります?と思うような文章です。

裁判長裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也 訳分からん


IHI粉飾決算被害株主弁護団のページ

しかし、この金額で決着というのはどうなんでしょう。この会社からすれば6000万円と弁護士費用なんて大したものではないでしょう。懲罰的賠償金がなければ全く抑止力にはなりません。それは立法の問題なのでこれ以上は立ち入りませんが。


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