平成26(受)2454 損害賠償請求事件
平成28年3月15日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
顧客が証券会社の販売する仕組債を運用対象金融資産とする信託契約を含む一連の取引を行った際に証券会社に説明義務違反があったとはいえないとされた事例
消費者金融業A社は企業に対する投資等を目的とする株式会社で、東証1部とロンドン証券取引所に上場している会社です。Aは、平成14年6月に発行総額を300億円,利率を年4%,償還期限を平成34年6月とする無担保普通社債を発行しました。
Aは、平成18年11月頃、Yさんに対し,会計上本件社債を早期に償還したものと取り扱うとともに将来支払うべき利息の負担の軽減を図るという取引についてその具体的な枠組みを提案するよう要請しました。
確かに、4%は負担が大きいですからね。
Aの取締役CはYからその取引内容の説明を受けました。それらの内容は、Aは公認会計士と弁護士にも相談しました。Yはこのとき英文での説明資料を提供しませんでした。
ちなみにCは金融取引については、一般的な知識しかなかったそうです。
Aは運用開始して直ぐに、元本が10%にまで落ち込む事態になりました。そして破産更生法適用になってしまったのです。
そこでAの管財人はYに対して、英文で説明資料を渡さなかったのは、証券業では必ずやらなければならない説明義務を怠ったとして訴えました。
原審では、
上告人Y2は,Aに対する説明義務を尽くしたということはできず,上告人らにおいて説明義務違反があったと認めるのが相当である。
としていますが、最高裁では、
上告人Y2において販売経験が十分とはいえない新商品であり,Cらが金融取引についての詳しい知識を有しておらず,本件英文書面の訳文が交付され
ていないことは,国際的に金融事業を行い,本件取引について公認会計士らの意見も求めていたAにとって上記各事項を理解する支障になるとはいえない。したがって,上告人Yが本件取引を行った際に説明義務違反があったということはできない。
と上告を全員一致で棄却しました。
ごもっともな判断だと思います。Aは東証1部の消費者金融業者であり証券業者も行っていたわけで、英文がなかったからと言って説明不足というのは及ばないでしょう。Cが金融についてあまり詳しくなかったとは言っても取締役ですからね。問題があるとすれば、Aのコーポレートガバナンスでしょう。
更に裁判所は続けます。
複数の格付機関において最高位であったことからすると,上告人Y1が本件仕組債の計算代理人となったことなどから直ちに,本件仕組債が金融資産として瑕疵,欠陥のあるもので本件取引におよそ適さないものであったということは困難である。
これはいただけません。どんな格付け会社であっても、その債権を保証するもではないですし、意見と見解を述べているだけにしかすぎません。さらに、その根拠となる調査方法や根拠については一切明らかにしていないのです。裁判官はそういた注意書きを読んでないのでしょうか。
確かに根拠のないまるっきり嘘をでっち上げるとまでは言いませんが、それに近い可能性もあるのです。こういうのも含めて証券業者であるならば、調べて当然の事だと思います。結論はいいとして、その途中過程はかなり危なっかしい感じのする判決文でした。
今回の裁判官
第三小法廷
裁判長裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充
平成28年3月15日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
顧客が証券会社の販売する仕組債を運用対象金融資産とする信託契約を含む一連の取引を行った際に証券会社に説明義務違反があったとはいえないとされた事例
消費者金融業A社は企業に対する投資等を目的とする株式会社で、東証1部とロンドン証券取引所に上場している会社です。Aは、平成14年6月に発行総額を300億円,利率を年4%,償還期限を平成34年6月とする無担保普通社債を発行しました。
Aは、平成18年11月頃、Yさんに対し,会計上本件社債を早期に償還したものと取り扱うとともに将来支払うべき利息の負担の軽減を図るという取引についてその具体的な枠組みを提案するよう要請しました。
確かに、4%は負担が大きいですからね。
Aの取締役CはYからその取引内容の説明を受けました。それらの内容は、Aは公認会計士と弁護士にも相談しました。Yはこのとき英文での説明資料を提供しませんでした。
ちなみにCは金融取引については、一般的な知識しかなかったそうです。
Aは運用開始して直ぐに、元本が10%にまで落ち込む事態になりました。そして破産更生法適用になってしまったのです。
そこでAの管財人はYに対して、英文で説明資料を渡さなかったのは、証券業では必ずやらなければならない説明義務を怠ったとして訴えました。
原審では、
上告人Y2は,Aに対する説明義務を尽くしたということはできず,上告人らにおいて説明義務違反があったと認めるのが相当である。
としていますが、最高裁では、
上告人Y2において販売経験が十分とはいえない新商品であり,Cらが金融取引についての詳しい知識を有しておらず,本件英文書面の訳文が交付され
ていないことは,国際的に金融事業を行い,本件取引について公認会計士らの意見も求めていたAにとって上記各事項を理解する支障になるとはいえない。したがって,上告人Yが本件取引を行った際に説明義務違反があったということはできない。
と上告を全員一致で棄却しました。
ごもっともな判断だと思います。Aは東証1部の消費者金融業者であり証券業者も行っていたわけで、英文がなかったからと言って説明不足というのは及ばないでしょう。Cが金融についてあまり詳しくなかったとは言っても取締役ですからね。問題があるとすれば、Aのコーポレートガバナンスでしょう。
更に裁判所は続けます。
複数の格付機関において最高位であったことからすると,上告人Y1が本件仕組債の計算代理人となったことなどから直ちに,本件仕組債が金融資産として瑕疵,欠陥のあるもので本件取引におよそ適さないものであったということは困難である。
これはいただけません。どんな格付け会社であっても、その債権を保証するもではないですし、意見と見解を述べているだけにしかすぎません。さらに、その根拠となる調査方法や根拠については一切明らかにしていないのです。裁判官はそういた注意書きを読んでないのでしょうか。
確かに根拠のないまるっきり嘘をでっち上げるとまでは言いませんが、それに近い可能性もあるのです。こういうのも含めて証券業者であるならば、調べて当然の事だと思います。結論はいいとして、その途中過程はかなり危なっかしい感じのする判決文でした。
今回の裁判官
第三小法廷
裁判長裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充
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