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トンデモ判決:定年過ぎた人を再雇用するとき、給与格差は配置転換があるかどうかで判断

2018-07-01 13:00:31 | 日記
平成29(受)442  地位確認等請求事件
平成30年6月1日  最高裁判所第二小法廷  判決  その他  東京高等裁判所

 1 有期契約労働者が定年退職後に再雇用された者であることは,労働契約法20条にいう「その他の事情」として考慮されることとなる事情に当たる
2 有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が不合理と認められるものであるか否かについての判断の方法
3 無期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給する一方で有期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給せずに歩合給を支給するという労働条件の相違が,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例


これは前回の記事の裁判と一連のものようです。


事実確認をしていきます。
1)被告は輸送会社で、有期雇用と無期雇用の2種類の従業員を雇用している。
2)無期雇用の従業員については
 (ア) 基本給は,原則として月給とし,在籍給及び年齢給で構成する。
 (イ) 乗務員に対し,その職種(乗務するバラ車の種類をいう。以下同じ。)に応じた以下の係数を当該乗務員の月稼働額に乗じた額を,能率給として支給する。
 (ウ) 職種により,職務給を支払う。その月額は,以下のとおりとする。
 (エ) 従業員規則所定の休日を除いて全ての日に出勤した者に精勤手当を支払う。その額は月額5000円とする。
 (オ) 1か月間無事故であった乗務員に対して無事故手当を支払う。その額は月額5000円とする。
 (カ) 従業員に対して住宅手当を支払う。その額は月額1万円とする。
 (キ) 従業員に対して家族手当を支払う。その月額は,配偶者について5000円,子1人について5000円(2人まで)とする。
 (ク) 役付者(班長又は組長をいう。以下同じ。)に対して役付手当を支払う。その月額は,班長が3000円,組長が1500円とする。
 (ケ) 従業員に対し,時間外労働等を命じた場合,超勤手当を支給する。
 (コ) 従業員に対して通勤手当を支給する。その月額は,公共交通機関の1か月定期代相当額とし,4万円を限度とする。
 (サ) 従業員の賞与については,別に定めるところによる。
 (シ) 3年以上勤務して退職した乗務員には,退職金を支給する。
従業員の定年を満60歳、全日本建設運輸連帯労働組合関東支部(以下「本件組合」という。)との間において,平成16年9月17日,年間賞与を基本給の5か月分とする内容の労使協定を締結した。

2有期雇用の従業員は
定年退職した後に有期労働契約を締結して被上告人に勤務する従業員(以下「嘱託社員」という。)に適用される就業規則として,嘱託社員就業規則(以下「嘱託社員規則」という。)を定めている。嘱託乗務員の賃金(年収)は,定年退職前の79%程度である。
 ア 採用対象者 60歳定年に達した正社員で,再雇用を希望する者
 イ 契約期間 1年以内の期間を定めて再雇用する。
 ウ 賃金
  ① 基本賃金 月額12万5000円
  ② 歩合給 12tバラ車 月稼働額×12%
    15tバラ車 月稼働額×10%
   バラ車トレーラー 月稼働額×7%
  ③ 無事故手当 月額5000円
  ④ 調整給 老齢厚生年金の報酬比例部分の支給が開始されるまでの間において月額2万円を支給する。
  ⑤ 通勤手当 公共交通機関の1か月分の定期代(ただし,4万円を上限とする。)
  ⑥ 時間外手当 時間外勤務等について,労働基準法所定の割増賃金を支給する。
  ⑦ 賞与,退職金 支給しない。
 エ 契約の更新 更新の最終期限は,満65歳に達した後の9月末日又は3月末日のいずれか早い日とする。
本件組合は,上記団体交渉において,被上告人に対し,定年退職者を定年退職前と同額の賃金で再雇用すること等を要求したが,被上告人は,これに応じなかった。


やっている仕事は定年前と後では同じなんだから平等に扱えとの主張です。

原審では
事業主は,高年齢者雇用安定法により,60歳を超えた高年齢者の雇用確保措置義務付けられており,定年退職した高年齢者の継続雇用に伴う賃金コストの無制限な増大を回避する必要があること等を考慮すると,定年退職後の継続雇用における賃金を定年退職時より引き下げること自体が不合理であるとはいえない。

これについて最高裁は、
審の上記判断のうち,精勤手当及び超勤手当(時間外手当)を除く本件各賃金項目に係る労働条件の相違が労働契約法20条に違反しないとした部分は結論において是認することができるが,上記各手当に係る労働条件の相違が同条に違反しないとした部分は是認することができない。

被上告人における嘱託乗務員及び正社員は,その業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度に違いはなく,業務の都合により配置転換等を命じられることがある点でも違いはないから,両者は,職務の内容並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲(以下,併せて「職務内容及び変更範囲」という。)において相違はない。


配置転換があるとなれば、差をつける根拠が無くなりますね。その一方で、

また,労働者の賃金に関する労働条件の在り方については,基本的には,団体交渉等による労使自治に委ねられるべき部分が大きいということもできる

この点は「はぁ?」ですね。ならば、法律は要らない事になります。

更に最高裁は続けます。

これらの事情を総合考慮すると,嘱託乗務員と正社員との職務内容及び変更範囲が同一であるといった事情を踏まえても,正社員に対して能率給及び職務給を支給する一方で,嘱託乗務員に対して能率給及び職務給を支給せずに歩合給を支給するという労働条件の相違は,不合理であると評価することができるものとはいえないから,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当である。

このように多数の店舗を持っている企業であればそうかもしれませんが、これを基準にしろと?

嘱託乗務員に対して住宅手当及び家族手当が支給されないことについて

被上告人における正社員には,嘱託乗務員と異なり,幅広い世代の労働者が存在し得るところ,そのような正社員について住宅費及び家族を扶養するための生活費を補助することには相応の理由があるということができる。他方において,嘱託乗務員は,正社員として勤続した後に定年退職した者であり,老齢厚生年金の支給を受けることが予定され,その報酬比例部分の支給が開始されるまでは被上告人から調整給を支給されることとなっているものである。


これって企業が労働者に対して正当な労働の対価というより、祝い金的側面を言ってますよね。なラバ最初から支払うことの合理性が問われませんか?

嘱託乗務員に対して役付手当が支給されないことについて
役付手当が年功給,勤続給的性格のものである旨主張しているところ,被上告人における役付手当は,その支給要件及び内容に照らせば,正社員の中から指定された役付者であることに対して支給されるものであるということができ,


当然でしょう。定年で約付から全部はずされ、それが条件で再雇用なのですから当たり前です。

上告人らに精勤手当を支給しないことは労働契約法20条に違反するものである。また,被上告人が,本件組合との団体交渉において,嘱託乗務員の労働条件の改善を求められていたという経緯に鑑みても,被上告人が,嘱託乗務員に精勤手当を支給しないという違法な取扱いをしたことについては,過失があったというべきである

それってどうなんです?何でもかんでも問題だと言っておけばいい事になりますよね。これってまともな経営が出来なくなりますよ。

第二小法廷
全員一致です。
裁判長裁判官 山本庸幸
裁判官 鬼丸かおる
裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守


これは法律にのっとって判断すればそうなんでしょうけど、正直言ってこの手の裁判があるたびに思うのですが、労働三法の最近の動きは企業を潰して海外移転を図れと言っているのか?と思うくらいです。
一度従業員を雇用すると、もう従業員を解雇できない状態です。定年退職ですらも、年齢差別成る主張をしてきている団体もあるので、今度は会社が解雇するための手続きを簡略化するいつ要があります。そうでもしないと、人を雇わない様に企業は努力するだけです。
これが全員一致というのは正直納得いきません。当然補足意見があるべきだと思います。企業の健全な運営をさせていくのに、60歳以上の従業員を再雇用するのは重荷にしかならなくなります。
最高裁判事だといかに恵まれているのか分かっていないようですし、雇用主の辛さを理解しようとしていませんね。


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