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微妙判断:大阪市のヘイト条例は合憲

2022-02-15 21:19:05 | 日記
令和3(行ツ)54  公金支出無効確認等請求事件
令和4年2月15日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所
 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条~10条は,憲法21条1項に違反しない

大阪市のヘイトスピーチ抑止条例、最高裁が「合憲」判断
大阪市のヘイトスピーチ(憎悪表現)抑止条例が「表現の自由」を保障した憲法に反するとして、市民が制定時の市長に対して関連費用約115万円の返還請求を行うよう市に求めた住民訴訟の上告審判決が15日、最高裁第3小法廷であった。戸倉三郎裁判長は「合憲」との判断を示し、原告側の上告を棄却した。

朝日新聞の報道です。
氏名公表のヘイトスピーチ抑止条例は「合憲」 最高裁が初判断
市は在日コリアンを「殺せ」「たたき出せ」と繰り返す集会の動画を投稿した人物について、同条例に該当すると認定。氏名が分からなかったことから投稿者のハンドルネームを公表した。こうした市の動きに対し、市内在住の男女8人が「表現の自由を萎縮させる」と反発し、関連経費は違法な支出だと主張して住民訴訟を起こした。

「殺せ」は流石に不味いですね。

訴えの内容です。
1 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例2条,5条~10条は,一定の表現活動をヘイトスピーチと定義した上で,市長が当該表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置等をとるものとするほか,市長の諮問に応じて表現活動が上記の定義に該当するか否か等について調査審議等をする機関として大阪市ヘイトスピーチ審査会を置くこと等を規定している。

大阪市内で悪辣な言葉で、特定の民族を罵ったとされたときに、それは罰するべきかどうかを判断する委員会があるようです。

本件は,市の住民である上告人らが,本件各規定が憲法21条1項等に違反し,無効であるとるため,審査会の委員の報酬等に係る支出命令は法令上の根拠を欠き違法である

基本的に表現の自由と結社の自由に違反しているから、大阪のこの条例は違憲で、無効であるという訴えのようです。

本件条例2条1項柱書きは,本件条例においてヘイトスピーチとは
・人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人又は当該個人により構成される集団(以下「特定人等」)を社会から排除すること(同号ア)
・特定人等の権利又は自由を制限すること(同号イ)
・特定人等に対する憎悪若しくは差別の意識又は暴力をあおること(同号ウ)


表現の内容又は表現活動の態様が次のいずれかに該当すること(同項2号柱書き)
・特定人等を相当程度侮蔑し又はひぼう中傷するものであること(同号ア)
・特定人等(当該特定人等が集団であるときは,当該集団に属する個人の相当数。同号イにつき以下同じ。)に脅威を感じさせるものであること(同号イ)


何とも抽象的な書き方ですが、これは運用によっては幅広く適用できそうですね。特に、特定人というのは個人であっても含まれるわけですね。つまり、事実の報道があって職を解くべきだという場合もこの中に入りそうです。いわゆる報道の範囲であっても恣意的に運用が可能になりそうです。どうやって回避するのでしょうか?

ウ 不特定多数の者が表現の内容を知り得る状態に置くような場所又は方法で行われるものであること(同項3号)

となると、新聞にも放送も出来ないことになりますね。

(2)当該表現活動が条例ヘイトスピーチに該当する旨,表現の内容の概要及びその拡散を防止するためにとった措置並びに当該表現活動を行ったものの氏名又は名称を公表する

まあ、言う以上はいう本人が顔を晒すべきだと思いますね。自分の言動に責任を持てというのは当然です。

(4)本件条例7条1項は,上記 の事項等について,諮問に応じて調査審議をし,又は報告に対して意見を述べさせるため,市長の附属機関として審査会を置く旨を規定し,本件条例8条は,審査会は,委員5人以内で組織し(1項),審査会の委員は,市長が,学識経験者その他適当と認める者のうちから市議会の同意を得て委嘱する(2項)旨を規定する。

ここが胡散臭い。市長と市議会ですよね。判断が政治的に偏りが出ることになりますよね。

第2 上告理由のうち本件各規定の憲法21条1項違反をいう部分について
1 前記事実関係等によれば,本件条例の制定当時,市内においては,特定の民族等に属する集団を一律に排斥する内容,同集団に属する者の生命,身体等に危害を加える旨の内容,同集団をその蔑称で呼ぶなどして殊更にひぼう中傷する内容等の差別的言動を伴う街宣活動等が頻繁に行われていたことがうかがわれる。ヘイトスピーチであるという認識,その事案の概要及び講じた措置を公表することが適当であるなどとする一方,憲法上の表現の自由との関係を考慮し,単なる批判や非難を上記措置等の対象外とし,社会からの排除等を目的とする表現活動にその対象を限定することが適当であるなどとしており,これを受けて,本件条例に係る条例案が提出され,可決成立したものである。


経緯はどうかはあまり関係ないのでは?

(2)本件条例2条1項柱書きは,拡散防止措置等の対象となる条例ヘイトスピーチの定義として,同項各号のいずれにも該当する表現活動をいう旨を規定しているところ,その文理及び上記の本件条例の趣旨に照らせば,同項1号は,一定の不当な目的を有することを要件としたものであり,具体的には,当該表現活動が,人種又は民族に係る特定の属性を理由とし,同号ア~ウのいずれかを目的として行われるものであることを要する旨を規定したものと解するのが相当である。

単に「〇〇人を追い出せ!」はこれに該当するが、例えば「生活保護を不正受給している〇〇人は追い出せ」は問題ないということになりますね。

2 憲法21条1項により保障される表現の自由は,立憲民主政の政治過程にとって不可欠の基本的人権であって,民主主義社会を基礎付ける重要な権利であるものの,無制限に保障されるものではなく,公共の福祉による合理的で必要やむを得ない限度の制限を受けることがあるというべきである。・・・これに加えられる具体的な制限の態様及び程度等を較量して決めるのが相当である(最高裁昭和52年(オ)第927号同58年6月22日大法廷判決・民集37巻5号793頁等参照)。

よど号事件の案件を持ってきますか。何かずれている気がするのは気のせいでしょうか?

人種又は民族に係る特定の属性を理由として特定人等を社会から排除すること等の不当な目的をもって公然と行われるものであって,その内容又は態様において,殊更に当該人種若しくは民族に属する者に対する差別の意識,憎悪等を誘発し若しくは助長するようなものであるか,

確かに、どこの国籍であるかどうかで判断するのはまずいことだとは思いますが、本当にそういう内容の発言があったのでしょうか?私が知る限りは、制度の不正利用があまりのもあるから「出て行け」になったのだと思います。ここは事実誤認がありそうです。

市長は,看板,掲示物等の撤去要請や,インターネット上の表現についての削除要請等を行うことができると解されるものの,当該要請等に応じないものに対する制裁はなく,認識等公表についても,表現活動をしたものの氏名又は名称を特定するための法的強制力を伴う手段は存在しない。
そうすると,本件各規定による表現の自由の制限は,合理的で必要やむを得ない限度にとどまるものというべきである。


裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政
裁判官 渡 惠理子

誰からも補足言意見も反対意見もないようですね。何か言う以上、批判する以上は正々堂々やるべきでその点においては賛成ですが、あまりにも政治的に使われる可能性を残した条例はどうなんですか?例えば、Aという政党が某国とつるんでいたとします。そのA党を追い出せ!ぶっ潰せという勢力をこの条例で排除可能になりかねませんよね。
また、その特定の国の人が市議に圧力をかけられた場合、まともに判断できるとは限りませんよね。特に、帰化した場合ならば。かなり回りくどく表現の自由をぶっ潰す第一歩を作ってしまったのではないかと思えます。地獄の釜の蓋をあけるような判決にならなければいいですが。

その上で、悪辣な言葉を言い続けている人は、実はその国の人あるいは帰化人だという説があります。あくまでもネット上の噂ですが。どうやら日本人は、かの国の罠に嵌ってしまっているのかもしれません。


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