Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

帰国

2013-09-28 | Weblog
帰ってきました。
帰国関連でまたまた予想外の出来事が起き、かなり消耗したりもしたし、明日もいろいろ続くのだが、とにかく、帰ってきた。
帰国したという感慨はまったくない。
むしろ、帰ってきてしまったという、虚しさと徒労感。
オリンピックのせいでとくにそう思うのだが、この国は本当に、世界の中でどのように生きようとしているのだろう。
もちろん、「内向き」すぎるということだ。
海外にいて楽なのは、どこへ行こうと、それぞれの国の違いはあれど、日本的な内向きと同一化の指向性のようなものは、そこまで感じられないからだ。
内向きというのは、国家的、マッチョとかナショナリスティックということではない。自分がない、依存心が強い、そして警戒心が強いくせにまわりをちゃんと見ていない、ということ。
特に今回はそう感じた。

帰ってみると「あまちゃん」も「半沢直樹」も終わっていた。まあもともとちゃんとテレビを見ていなかったのだから、気にしても仕方ないのだが。

下村文部科学大臣は韓国でユ・ジンニョン文化体育観光相と会談、「韓国のドラマは日本ではテレビなどで放送されているので、韓国側でも日本のドラマを地上波で放送してほしい」と伝えたという。
どうですかこのニュース。
「韓流」に対する敗北宣言ではないだろうか。
ふつう考えられるのは、日本の作品も面白くて人気があれば、韓国でも放映されているだろうということだけだ。
経済分野でも、自由経済を謳いつつ、国が後押しする。文化も同様というおつもりだろうか?
ほんの十年前まで日本の芸能文化は韓国に紹介することが許されていなかった歴史的背景についても、考慮が足りないのではないか。
それでも韓国の演劇人たちは、我々が彼らに対してそうであると同様、能う限り日本の演劇に関心を持ち続け、相互の交流を厭うことがなかった。

〈韓日演劇交流協会〉〈日韓演劇交流センター〉とそれ以前の、国家政策に反しても出会おうとしてきた、何十年にもわたる日韓演劇人の心を通い合わせた交流について、文部科学大臣に教えてあげなくてはならないのだろう。相談に来てくれればいくらでも助言する用意はある。

成田空港で別れた、『屋根裏』で二ヶ月近くを共に過ごしたイ・ジュウオンも、もう韓国に帰ったはずである。

本当に皆さん、おつかれさまだ。
『屋根裏』はまだまだ続く。さまざまな人たちに支えられて、演劇作品の命が、続いていく。その事実に、励まされる。
コメント
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