Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「婚外子」というコトバが嫌だ

2013-09-05 | Weblog
婚外子の遺産相続分を、法律上の夫婦の子の半分とする民法900条4号の規定が憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、最高裁大法廷は「規定の合理的な根拠は失われており、法の下の平等を保障した憲法に違反する」とした。明治時代から引き継がれた婚外子規定を合憲とした1995年の判例が覆った。「裁判や調停などで確定済みの他の遺産分割には影響しない」という注釈付きである。早ければ民法改正案が秋の臨時国会に提出される。出生届に婚外子かどうか記載することを義務付けた戸籍法も改正する方向で検討を始められたという。これまで「主要先進国で規定が残るのは日本だけ」とされており、「差別」の撤廃は進んでいるというわけだが、あまりにも遅すぎる。
結婚していない男女間に生まれた子を抱えて苦労するのは、ほぼ「女親」である場合が多いだろう。法律は整備されても、この国の保守勢力は「女親」に対して冷たい。既婚者であってもそうだ。「週刊現代(8月31日号)」に寄せられた、曽野綾子「甘ったれた女性社員たちへ 私の違和感」には、「出産したらお辞めなさい」という見出しがついており、「マタニティ・ハラスメント」や「セクハラ」という、社会の中で自然と生まれた概念を示す言葉を、「汚い表現」と決めつけ、「企業側は、(妊娠・出産した女性社員に対する嫌がらせやいじめについて)反対意見を言えないよう言論を封じ込められている」「実際的に考えて、女性は赤ちゃんが生まれたら、それまでと同じように仕事を続けるのは無理」「彼女たちは会社に産休制度を要求なさる。しかし会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度」と発言しているという。教育改革国民会議委員や現在でも教育再生実行会議委員などを歴任してきた人間が、労働基準法65条で保証されている産休制度を否定しているのである。「女性は赤ちゃんが生まれたら、いったん退職してもらう。そして、何年か子育てをし、子どもが大きくなったら、また再就職できる道を確保すればいいんです」というが、その「確保」にどういう具体的なプランがあるのか。こうした蒙昧によって「少子化」にさらに拍車がかかり、この国の労働人口も減少していく。そして私たちは、狭義の「専従子育て」の強要が、母親たちにとってストレスであることを知る時代となっている。「保守」であるはずの人たちが、自分たちの国を守っていく気がないのである。
それにしてもこの国は、戦争に負けていなければ、明治時代の法律がもっともっと生きのこっていたのではないか。自分自身で変わることのできない国である。

2020年夏季五輪開催地を決めるIOC総会を前にした記者会見では、東電福1原発の汚染水漏洩問題について、招致する日本に対して厳しい質問が相次いだという。当然だ。
政府自民党では、今更のように「事故発生時の菅直人首相が「東電任せ」に終始したことが、問題の背景にある」として民主党政権の責任を問う声が出ていたり、「責任転嫁」も盛んのようだ。原子力損害賠償法は「異常に巨大な天災地変」による損害に対し電力会社を免責し、国が責任を負うと定めており、「菅政権はこの規定を適用しなかった」というわけだ。河野太郎衆院議員が「東電に資本が残ったまま、国が税金を投入するのは、納税者が東電の株主を助けることになる」というのはもっともだが、自民党が与党になった後も同じことだったではないか。そもそも「原発国家」が作り上げられたのは自民党長期政権の時代だ。
平沢勝栄衆院議員は「なぜ五輪招致前に発覚したのか」と言ったらしいが、これはかなりの問題発言である。「発覚」というコトバはこの立場でこのように使われるとどういう意味になるか、わかっていないのではないか。

ジャック・ニコルソン引退の報。『カッコーの巣の上で』をリアルタイムで観た世代としては感慨深い。
私たちの時代が少しずつ「過去」になっていく。しかし「汚染」だけは「過去」になっていかない。
コメント
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