Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

経産省、原発新設したいってよ。

2017-12-03 | Weblog
虚構新聞ではありません。

時事通信によれば、

「原発新設、議論着手へ=エネルギー計画見直しで-国民理解に課題・経産省」

ということで、

「経済産業省は、原発の新設や建て替えの必要性に関する議論に近く着手する。2030年までの国の政策方針を定めた「エネルギー基本計画」改定に際し、地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」を踏まえた50年までの長期的視点を新たに盛り込む」

という。

全世界が「脱原発」に向かう中、国民の安全や国際的な放射能汚染への責任よりも、地球温暖化対策に取り組む「パリ協定」の方が大切だという理屈だ。
六年九ヶ月前の震災・事故の教訓に学ばないという。

報道によれば、

「温室効果ガスを8割削減する日本の目標に向け、二酸化炭素を出さない原発をどう維持するかが焦点となる。」
「3年ごとの基本計画の改定検討を担う経産省の会議で先月28日、分科会長である坂根正弘氏(コマツ相談役)が「原子力と地球温暖化問題の両面からアプローチしないと答えが出ない」と発言。「50年を考えながら30年の議論をしたい」とも語り、50年までの原発活用を議論する方針を示した。」

なのだそうだ。

確かに経済界に「エネルギーに乏しい日本の将来のために原発稼動拡大を」という声は依然として、ある。

しかし、この間の、杜撰な運営が明るみになり、調査・検査の不徹底が指摘される中、本当に国民の信頼が得られると思っているのか。

「政府は電源構成に占める原発の比率を30年度に20~22%とする目標を掲げている。30基程度が必要だが、原則40年の運転期間を60年に延長すれば、計算上は既存原発だけで達成できる。しかし、その後は全原発を60年運転しても50年度ごろに比率は10%程度にまで低下。再生可能エネルギーに安定性やコストの課題が残る中、温暖化目標達成には新設によって原発比率を維持するかが論点となる。」

で、

「経産省は当初、今回の計画改定は小幅にとどめ、原発新設には踏み込まない方針だった。だが有識者委員から検討を急ぐべきだとの意見が続出。来春から議論を本格化させる方向に転じた。」

と、報道されるにいたった。

日本国よ。
もうやめよう、そんなことは。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017120300287&g=eco
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オキナワハマサンゴ

2017-12-03 | Weblog
沖縄・辺野古沖の長島付近で発見したオキナワハマサンゴ。

群生しているサンゴである。

船の上から見ると、生きて動いているみたいだ。

美しさ、優雅さは、説明のしようがない。

普天間代替基地ができると、海はこの辺りまで新滑走路に覆われて、長島周辺の生態環境はすっかり変わり、このハマサンゴも生存の場をなくすのだ。

写真は、今年の九月。



この海も関わる、燐光群『くじらと見た夢』、名古屋、伊丹、岡山公演の情報は、以下の通り。

……………………………………

ふたつの海。
クジラのいる海、いない海。
でも忘れちゃいけない。
海はひとつ。
必ずどこかで繋がってる。

燐光群創立35周年記念公演 VOL.1
────────────
燐光群『くじらと見た夢』
作・演出○坂手洋二
http://rinkogun.com/
────────────

国際的な捕鯨問題と日本社会の現状をリアルに描く、鯨捕りに携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語。

佐々木梅治 Benjamin Beardsley 円城寺あや 南谷朝子
中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
杉山英之 東谷英人 武山尚史 山村秀勝 樋尾麻衣子
宗像祥子 田中結佳 秋定史枝 橘麦 中瀬良衣

【名古屋公演】
12月12日(火)19:00
12月13日(水)19:00
愛知県芸術劇場小ホール
名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター地下1階
地下鉄東山線または名城線「栄」駅下車、徒歩3分
名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、徒歩2分
※いずれもオアシス21から地下連絡通路または2F連絡橋経由

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Nagoya.html

【伊丹公演】
12月15日(金)19:00
12月16日(土)14:00/19:00
12月17日(日)14:00
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
伊丹市伊丹2-4-1
JR伊丹駅西へ徒歩1分
阪急伊丹駅東へ徒歩約10分

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Itami.html

全席指定 一般前売料金3500円
大学・専門学校生/U-25(25歳以下) ¥2,500 高校生以下 ¥1,500
もございます。※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

【岡山公演】
12月19日(火)19:00
岡山市立市民文化ホール
岡山市中区小橋町1-1-30
路面東山行「小橋」下車徒歩1分

全席自由席 18:00より整理券を発行します。
客席開場前にロビーで整理券の番号順にお並び頂き、18:30よりその順にご入場頂きます。

一般前売 2,700円  当日3,000円 
大学生以下 1,500円  ※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Okayama.html


写真は、佐々木梅治、橘麦、大西孝洋。
のどかなシーンもあるのだ。

撮影・姫田蘭

……………………………………


新作『くじらと見た夢』、パンフレットに掲載したご挨拶文です。

沖縄でのイルカ(ヒートゥー、ピトゥ)漁は、伝統的なものとして知られているが、戦後の一時期、名護西岸で本格的な捕鯨をしていたことを、最近になって本格的に調べた。十五年近くにわたって、年間数十頭のザトウクジラを捕っていたのだ。昭和二十六年、「戦後初めての捕鯨」と思しき漁にも参加した、八三歳で現役を誇るイルカ撃ち漁師の一家にも、詳しく話を聞いた。

名護東岸、島の反対側に位置する海では、米軍基地キャンプ・シュワブに、普天間基地代替施設としての空港建設が強行されようとしている。この劇の上演が始まる週、大浦湾を埋め立てる石材の、海上輸送による大量投入が始まった。

イルカ漁の豊かな歴史を抱く平和な名護漁港と、米軍基地に占拠された辺野古。同じ名護市なのに、海の風景は、西岸と東岸で、まったく違うのだ。

昨冬、かつて『くじらの墓標』を書くため訪れた捕鯨村・鮎川を、震災後には初めて、再訪した。津波の猛威を受けた町並みはすっかりなくなってしまったが、捕鯨は変わらず続けられていた。

『南洋くじら部隊』の舞台、レンバダ島の捕鯨村ラマレラを、久しぶりに訪れた。電気も電話も貨幣経済もなかった暮らしは近代化の洗礼を浴び、変わってしまった。それでも漁師たちはクジラを捕り続けている。

そして、映画『ザ・コーブ』等によってイルカ漁が国際的な非難を浴びた和歌山・太地に、初めて行った。捕鯨反対運動は沈静化していたが、それとは無関係に、人々は未来を見つめていた。午後から夕方にかけて漁協の退職者たちが集う溜まり場で、九〇歳の元クジラ捕りに話を聞いた。かくしゃくとして、見たところ七十過ぎにしか見えない元気な人で、全世界を股にかけた捕鯨最盛期の話は、圧巻だった。

名護の八三歳、太地の九〇歳との出会いは、収穫だった。

まだだ。
まだ間に合う。
戦争・戦後の時代と、今を生きる人たちを繋ぐ、海の物語を描くことができる。そう思った。捕鯨に携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語が、くっきりと浮上してきた。

これほどさまざまな場所を取材し、あらゆる人々に会ったことはない。四半世紀のあいだ抱えてきた「クジラ」というテーマと、逃れようもなく関わってきた沖縄のことが、このように出会う、宿命。

おそらく今までで一番多く溢れる情報を相手に、井上ひさしさんがよく言っておられた「小説はどんなに長く書いても許されるが、戯曲はどうしても二時間半に収めなければならない」という困難が、立ち塞がった。

しんどい作業に共に立ち向かう仲間たちに、支えられた。そのありがたさ、豊かさに、これほど感謝し、教わった現場も、ない。

クジラを捕ることと演劇を作るという営為は、やはりどこか似ている。

(『くじらと見た夢』当日パンフレットより)

(クジラの写真は、小島曠太郎氏による。今年、インドネシアのラマレラにて。)
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