Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

補償や代替案を提示せず「中止」を押しつけることを、「自粛」のお願いというらしい

2020-03-24 | Weblog
昨日3月23日、小池百合子東京都知事が「新型コロナウイルス感染症に対する対応方針について」として、記者会見した。

小池知事は、まず、帰国者への強力な社会的隔離策をとるとした。確かにそれは全世界がやっていることではある。だが、簡単に言ってもらっては困る。出入国が必要な人達はいるのだ。細かな対応を可能とする整備の用意はしているのか。

都市封鎖を「ロックダウン」と言うらしいが、そんな言葉で既成事実みたいに言われても困る。
4月12日(日曜日)までの3週間、「換気の悪い密閉空間」、「多くの人の密集する場所」、「近距離での会話」、この三つの条件が重なる場を避けるための行動をお願いしたい、という。
3週間という数字の根拠は色々あるのだろうが、三週間後にうまくいっていなかったら、また三週間の延期の繰り返し、ということなのか。
3週間イベント自粛の対象に花見も含まれるのかという記者の質問にも、のらくらとした答弁だ。エチケットがどうとかの意味がよくわからないが、座らなければいい、と言っているようだ。3月19日に小中学校などの休校が解除される方針が伝わったことで「解禁ムード」が広がったことも事実で、あまり制限してもという配慮が働いているのだろう。

ライブハウスやスポーツジムなど、一部施設は名指しされてしまった。これは民間のことを言っていることになるはずだ。
そして「イベントの自粛」について、「引き続きご協力いただきますよう強くお願いを申し上げます」という。
それは「命令」ではないのか?
都知事の指示に従って、各区が「イベントの中止」や「施設の閉鎖」を決めたら、その施設で何かをやろうとしていた民間の者たちにとっては、それは間違いなく「強制された中止」であって、「自粛」ではない。
そして、行政がした「命令」のために被害や負担を受ける者がいるなら、それはきちんと法律として細かな対応を整備してから、すべきではないのか。対応はそれぞれの自治体に任せて、国や都は万全な責任を取らないというつもりなのか。

民間は、きちんと「命令」されていない以上、自由はある。で、民間は続行する。公立施設はやらない。それだと、「ロックダウン」が必要な事態を避けたいといいながら、対応は「徹底していない」ことになる。
繰り返すが、民間は自己責任。公共施設は責任をとれないから閉じるということであれば、公共施設で開催する者だけが中止を余儀なくされることになる、この違いについて、どう認識しているのか。
きちんと法律を整備して、補償や代替案を提示した上で「中止」を命じるのでなければ、公共の側も「自粛に協力してもらっただけ」ということで、中止で負担を背負う者に対して、必ずしも納得のいくケアをする責任がないということになる。
そして、中止したり、少しでも規模を縮小したりして協力した「民間」に対しても、「自主的にやってくれたこと」と処理されてその負担を不問にされてしまっては、たまらない。

ともあれ、この事態が改善されることを祈る。

東京都医師会から、「四つのお願い」というのが出されている。
無理せずに休んでください。
感染を疑う患者は、まず、かかりつけ医に「電話で」相談してください。
喫煙者には、この機会にぜひ禁煙を。
四つ目、高齢者の感染に関しては「防ぐように皆さんで協力をよろしく」、という。これは、どうやれというのか?
この「四つのお願い」で理解できるのは、現実的には「無策」であるということだけだ。
そして、ようやくオリンピックの延期は仕方ないと思っているらしいが、いちど、きちんとオリンピックのことは忘れたらどうかと思う。




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手放しに喜ぶべきことかどうか。「あいちトリエンナーレ」への文化庁補助金減額交付。

2020-03-24 | Weblog
昨年、「表現の不自由展」の展示がいったん中止された愛知県の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」への補助金について、文化庁は全額不交付とした決定を見直し、減額して交付することを決めたという。
NHK NEWS WEBは、「慰安婦を象徴する少女像や天皇をコラージュした作品などに抗議が集まり、展示が一時中止されました」と説明する。
文化庁は、この補助金およそ7800万円について、愛知県側が会場の安全などを脅かすような重大な事実を認識しながら申告しなかったなど手続きに不備があったとして、去年9月、全額不交付にする決定をした。対する愛知県側は、補助金適正化法に基づき文化庁に不服を申し出た。結局、審査の中で愛知県側は、展示会場の安全性などに懸念がありながら事前に報告しなかったことは遺憾だったと認め、それにかかった経費などを減額して再申請し、文化庁は補助金を6600万円余りに減額して交付する決定をしたのだ、という。

文化庁は、23日夜の会見で、今回の見直しについては、「個別の展示内容や表現を評価したわけではない」と説明している。
だが「会場の安全などを脅かすような重大な事実」という文言を取り消してはいないのではないか。
「それにかかった経費」の内訳や、1200万円減額の根拠も現在のところ示されていない。
「経緯の公開を望む」と締めくくる識者コメントも出始めているが、今後はたして説明されるだろうか。

いったん採択した補助金を全額不交付とした文化庁の異例の判断が覆されたことを喜ぶ人達も多いだろう。
全額不交付ではなくなったが、結局、「表現の不自由展」という「やっかいごと」を抱えたぶん減額されたという事実はそのまま残るわけで、そこが重大であることを忘れてはならないと思う。
 
文化庁の説明通りだとすると、今後、こうしたイベントの主催者にとって、「表現の不自由展」のような「危険な物件」は、展示物に選ばないほうがよさそうだ、という「前例」になってしまったままだと思う。
批評性の高い表現に対して「会場の安全などを脅かす」などと決めつければ、「それ(安全確保)にかかった経費」という問題が付随してきて、というか、それを言い訳に、表現そのものの公開を忌避することもありうる、という前例を作ったに等しいかもしれないからだ。

経費がかかっても公開したいということに正当性があると認めるならば、減額はあり得ないからだ。
これが一種の「事後検閲」であることは変わらないのではないか。

減額交付によって「表現の自由」が守られた、と、手放しに考えることは出来ない。
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アフタートーク と 若い人達への大胆な割引料金 のお知らせ

2020-03-24 | Weblog
アフタートークのお知らせです。

日本☓タイ 共同制作 『安らかな眠りを、あなたに YASUKUNI』 のアフタートーク、うち二回は、俳優陣も出演します。
アフタートークは、本公演の前売券をお持ちの方、ご予約の方はご入場頂けます。

24日(火)19:00  VARATTHA TONGYOO(アン) SHOGO TANIKAWA(ショー)  荻野貴継 渡部彩萌 ニコン・セタン 坂手洋二
25日(水)19:00 SAIFAH TANTHANA(ファー)  JIRAWAT CHARNCHEAW(エフ)  武山尚史 樋尾麻衣子 ニコン・セタン 坂手洋二
26日(木)19:00  千徳美穂(翻訳者・日タイコーディネーター)  坂手洋二

そして、若い人達に見てもらいたくて、以下のような大胆な割引をしています。ぜひ若い皆さん、学生さんも、長い長い春休み、ぜひ、劇場に足をお運びください。



U-25/大学・専門学校生 1,500 円
高校生以下 500 円 
※U-25 以下の割引は前売・当日共通料金。当日受付にて要証明書提示。


写真は、左より、SAIFAH TANTHANA(ファー) 渡部彩萌 JIRAWAT CHARNCHEAW(エフ)  樋尾麻衣子 SHOGO TANIKAWA(ショー)
撮影・姫田蘭


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日本☓タイ 共同制作 『安らかな眠りを、あなたに YASUKUNI』

作|ニコン・セタン 翻訳|千徳美穂 演出|ニコン・セタン 坂手洋二
3月20日(金・祝)~29日(日) 劇場MOMO
日本語字幕付き。

http://rinkogun.com/Yasurakananemuriwo_Anatani.html

上演時の「感染症への対応についてのお知らせ」
https://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/b77ce09b131eb8320d96958681d39496?fbclid=IwAR0biNA-HputIXAiXCdhcoz8AzWJn18y9-sKg2ytccr7V2KtFsVfq5mdGXI
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