今年の高校演劇四国大会最優秀は、吉田晃弘先生が顧問の徳島城東高校が、選ばれた。
吉田先生・城東チームは、なんと昨年、今年の全国最優秀二連覇に続いての、全国大会への出場決定である。
二連覇だって史上初だったはずだが、ここで「三連覇なるか?!」と注目されて、当たり前である。
今回は、『ポーチとピロティ、ストックヤード』という、人を食ったようなタイトルである。
吉田脚本には、二つの方向があり、二連覇の二作には、その一つのほうの方向性は、比較的隠されるというか、表に出すぎないように伏せられているみたいな傾向があった。
二連覇の二作は私は映像でしか観ていないから比較していいかどうかわからないのだ。
『ポーチとピロティ、ストックヤード』には、その「もう一つのほうの方向性」が、よりしっかりと含まれているというか、前面に出ている、といっていいのではないか。
詳細やその特性は、これか全国大会があるので、記しません。
四半世紀前、私が初めて四国大会の審査員長を務めたとき全国大会に推した、紋田正博先生の『まじめにヤレ』は、超前衛的・社会的視座、独自の美学を持ち、世界的な価値観で見ても大傑作だったが、吉田晃弘はその方向性の後継者でもあるのだ。
私が6年前に二度目の四国大会審査員長を務めたときの吉田晃弘+徳島城東高等学校の『スパゲッティーフィケーション』も、そのような優れた作品だった。
その「もう一つのほうの方向性」こそ、私が吉田晃弘を「日本で一番ルネ・ポレシュに近い男」と呼んできた部分であり、ドイツの前衛演劇ともっとも親和性のある作品を徳島の高校演劇が連打していることの素晴らしさは、日本演劇界でもっと話題になっていいはずだと思ってきた。
高校演劇の枠を越えて世界レベルの作品を連打する吉田さんと生徒たちの素晴らしさたくましさは、こうして全国に知られることになって、私も嬉しい。
これからも世界に向かって、もっともっと弾けてゆくことだと思う。
今回は私は一観客であり、部外者である。審査員長は長田育恵さん。
四国の高校演劇顧問の皆さんには、他にもタフで逞しく優しくトンデモな才能が渦巻いている。私より若い世代でも、全国優勝経験のある豊嶋了子さん、烈しくとんがった大窪俊之さん、他にもどんどん台頭してきている。
四国の高校演劇に注目すべし、である。
ともあれ、吉田さん、城東のみなさん、おめでとう!