去年に続いて、行者ニンニクを食ったのでそのエントリーを。去年は太子堂の『大久保』でこの珍品を見つけ、大喜びで1パック180円で手に入れたのは4月29日のこと。しかし、「珍品」と思ったのはオカブの早とちりで、今では都内ならこの聞きなれない山菜を容易に入手できる。下北沢の『オオゼキ』にも、その近くの八百屋にも置いてあった。要は珍しくもなんでもないのである。今日買ったのは太子堂の『大久保』で1パック298円。少々高いような気もするが、『オオゼキ』のものより色取りが美味そうなので、教会の帰りに買ってきた。さて、これをどうやって食うか?味噌汁の具にしても、和え物にしても良いとものの本に書いてあったが、一番素朴な食べ方がもっとも野趣を誘うと思い、生で味噌をつけて齧ることにする。こういう肴には美酒が必要で、『菊水の四段仕込』をかーたんに内緒で仕入れておいた。味噌をつけて一齧り。エシャロットに甘みをつけたような味わいと舌への刺激で夥しい葷臭がする。食う前は期待に胸膨らんでいたが、そんなに美味いものではないことを再認識。今日は4月の11日であるが、普通は高冷地の湿地に夏季に群生する植物であるらしい。パックの張り紙に『庄内農業協同組合』とあったからもしかしたら農家が農地で促成栽培した、天然ものではない行者ニンニクかもしれない。食った後は葫の臭いが抜けない。かーたんに葱臭いからそばへ寄るなと申し渡されてしまった。深田久弥さんのような往年の行者ニンニクファンならいざしらず、オカブのような野暮天の食通もどきには行者ニンニクは猫に小判であったかもしれない。
爛漫の軒端を占めて一人酒 素閑