今年もひな祭りの季節がやってきた。しかし、物入れにしまってあるひな人形を出して飾り付けたのはつい一昨日のことというのは、無精が身についているかーたんとオカブとしては毎年恒例のこと。切羽詰ってからでないと、なかなか身体が動かない。まあ今年のお雛はエルさんもバイトのことだしなんの祝いの行事もしないことにしていた。そこで、オカブとかーたんは夕飯に不塚越のカレーの残り物を温めてなんともわびしい晩餐を澄ました。我が家のお雛は、エルさんが生まれたときの初節句にかーたんの実家のおばあちゃんが買ってくれたもの。お内裏さまとお雛様の二体しかないが、なかなか大振りで立派なものである。そのエルさんも昨年、二十歳を迎え今年成人式、この四月には大学三年に進級する。まあ、すくすくとここまで大きくなったものだ。完全に独り立ちするまであと一息。あとは片付くところに片付いてもらうのを待つばかりだ。三月に入り休みということもあり、エルさんはバイト先からなにかと急な店番を要請されることが増えてきたようだ。今日も飛び込みの当番。なにかエルさんの大学生活というものは学校に行って、バイトをしてに明け暮れているようで、いかにものんびりとした学生生活を謳歌したオカブとしてはなにか可哀そうになってしまうようだ。しかし、まあなんとか二十歳のお雛を迎えられた。めでたしめでたしである。
雛祭り変わり映えせぬわが身かな 素閑