確定申告ではないが、北澤税務署まで行く用事ができた。そこで、行く道の途中にある円乗院と羽根木公園で梅見をしてこようという計画を立てて、3時過ぎに家を出た。北澤川の緑道を行く。冷たい冬から暖かい春の陽気が兆したこの日は外に出て日光の恩恵に浴そうという人が大勢いて北澤川の緑道は平日にもかかわらず子供を連れた散歩の家族連れ、ジョギングをする人などで賑わっていた。さて、円乗院は真言宗豊山派の古刹。中世の伝承の巨人、「ダイタラボッチ」の起源の縁や、正月に保存会の人たちによって演じられる「代田餅つき歌」の縁などがある由緒ある寺である。
円乗院では参道脇にある文殊菩薩、六地蔵などを見た。
円乗院にはこの近辺では貴重な日本庭園が解放されている。そこには紅梅白梅が植えられ、季節外れではあるが春の陽気に惜しみなく花を咲き誇らせていた。しかし今年の冬は異常に寒く、今の頃でも梅はまだ八分咲きである。
円乗院の庭園はそれは見事なもので、滝から水が落ち、泉水には錦鯉が放されている。ここにくると、都会の真ん中にいることを忘れさせてくれる。
しかし、円乗院の梅は華やかではあるが、どこか控えめで、ゆかしい香を放っていた。
円乗院から環七を渡って梅ヶ丘へ、そこにある羽根木公園に向かう。羽根木公園も、平日というのに梅見の人たちで賑わっていた。写真を撮る人、句碑を眺める人、梅花を仰ぎ鑑賞する人など、待ちに待った春の陽の中で思い思いに寛ぎのひと時を過ごしていた。
しかし、羽根木公園の梅もまだ八分咲きであった。羽根木公園では、2月に世田谷区主催の梅祭りが開催され、模擬店が店をだし、茶席などがしつらえれる。しかし2月の時期では梅はまだほとんど咲いていなかったであろう。
さて、梅を愛でて雅の心に浸った後は、税務署でうんざりするような浮世の雑事に心悩ますのであった。
狂い咲き人少なき様梅林や 素閑