昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

行者葫

2017-04-18 23:43:30 | お惣菜

太子堂のO青果店で、行者葫が2月頃から店先に並んでいる。
気にはなっていた。
こんな時期に行者葫もないものだろうと思った。
深田久弥の『瀟洒なる自然』によると、日高の山の尾根で昼飯に行者葫を摘んで食ったと出ている。こんな老登山家が日高の山に登れるのは、雪の消えた夏に決まっている。いくら寒冷地の北海道とはいえ、行者葫の旬はだいたいそんな時期である。
だから2月に行者葫は奇異である。
でも、これが無性に好きなオカブとしてはいたたまれず、ついに今日になって買ってしまった。
1パック350円である。決して安くない。
家に帰って、酒の肴に生で味噌をつけて食うつもりである。
早速開けてみると、日が経って身が崩れ腐りかけている。
ラベルを見ると案の定「促成栽培」と書いてある。
まぁ、いい。元山屋の意地の汚さで、腐った野菜も、あればこそ、ガリガリ食う。
酒もガンガン飲む。
行者葫の原産地は中国奥地、天山山脈の辺りだという。深田の本に書いてあった。玄奘三蔵が、この野菜が天山山脈に生えているのを見て、同山脈を「葱嶺」と名付けた。これも深田の本に書いてある。
食った本人は気付かないが、このニンニクを食った臭いの余塵は凄まじかったらし、かーたんはたまらず夜、寝所を共にすることなく、階下に逃げ出した。
明日は、イタリア出身の女性フルーティスト、リタ・ダルカンジェロと会わねばならない。
いいだろう。ニンニクのにおいにまみれて、破れ布団に潜り込んだ。

忍辱の臭い強きを妻厭う   素閑 



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