「象と耳鳴り」 恩田陸 祥伝社文庫
h12編からなる短編集。
「曜変天目の夜」
陶芸展を訪れた関根多佳雄と桃代夫妻。
あることから、昔のあるシーンを思い出す。
そこから、その時は分からなかったことに気が付く。
「新・D坂の殺人事件」
渋谷の駅前、人が大勢いる所に突然現われた死体。
その前に上を見上げていた老人が「堕天使を」とつぶやく。
「給水塔」
散歩が好きだと言う素性の分からない若い男、時枝満から『人食い給水塔』に話を聞く多佳雄。
一緒に郊外にある給水塔を見に行く。
そこで聞いた人食いの由来とは。
「象と耳鳴り」
“あたくし、象を見ると耳鳴りがするんです”と言う老婦人。
それは、子どもの頃に英国で遭遇した象による殺人事件の話。
「海にゐるのは人魚ではない」
「海にいるのは人魚じゃないんだよ」
「じゃあ、なんだよ」
「海にいるのは、土左衛門さ」
「でも、オレ見たもん、人魚」
そんな小学生の会話から、多佳雄はある事件の真相を考察する。
「ニューメキシコの月」
『エルナンデスの月の出』ニューメキシコ州、1941年。
写真家、アンセル・アダムズが撮った写真。
その写真のポストカードを毎年送って来た男は室伏信夫。
医師でありながら9人の人間を殺し、死刑判決を受けていた。
「誰かに聞いた話」
連想ゲームのように、多佳雄と桃代は会話からある事件の真相を推測する。
「廃園」
薔薇が溢れる庭にかつて住んでいた結子と結花の母娘。
結子と多佳雄は従兄妹同士。
結子は、庭で自殺を図ったことがあった。
「待合室の冒険」
多佳雄と春が、遅れている列車を待っている待合室。
不自然な会話を漏れ聞いて、春はある犯罪を見破る。
「机上の論理」
ある人物の部屋を撮った数枚の写真から、どんな人物かを推理する。
夏と秋が描き出した人物は。
「往復書簡」
多佳雄と姪、孝子が手紙で連続放火事件を知らせる。
手紙のやり取りで、多佳雄はその真相と突き止める。
「魔術師」
S市の外れ、丘陵地を開発した大規模なニュータウン。
そこでは、奇妙なことが起こっていた。
交差点に置かれる、石鹸で出来たお地蔵さん。
赤い犬の話。
小学校の一クラスから突然消えた椅子。
判事の関根多佳雄とその家族が中心の推理物。
検事の息子、春と弁護士の娘、夏。
記憶力のある奥さんも、味のある登場をする。
関根多佳雄は、恩田さんのデビュー作の、主人公の父親だそうだ。
最後のあとがきを読むまで、気が付かなかった。
デビュー作『六番目の小夜子』。
春が主人公の高校生だったのか。
本格推理と言うよりも、家族の繋がりがほのぼのとして、そちらに気持ちが行く。
推測の状態で終るのが多いので、余計そう感じるのかも知れない。
刑事物ではないので、そこまでは必要のないということか。
それもいいが、「給水塔」のラストは、もう少しはっきりと結末をつけて欲しいと思った。
あのままでは、後味が悪い。
結末がはっきりとは書かれない、不思議な雰囲気の物語も。
ちょっと霧が掛かったような感じ。
これが恩田さんの持ち味だが。
「魔術師」は、まさに恩田さんらしい物語。
今までの短編は、少々物足りない感じがあったが、これは短編らしいコンパクトな面白さ。
h12編からなる短編集。
「曜変天目の夜」
陶芸展を訪れた関根多佳雄と桃代夫妻。
あることから、昔のあるシーンを思い出す。
そこから、その時は分からなかったことに気が付く。
「新・D坂の殺人事件」
渋谷の駅前、人が大勢いる所に突然現われた死体。
その前に上を見上げていた老人が「堕天使を」とつぶやく。
「給水塔」
散歩が好きだと言う素性の分からない若い男、時枝満から『人食い給水塔』に話を聞く多佳雄。
一緒に郊外にある給水塔を見に行く。
そこで聞いた人食いの由来とは。
「象と耳鳴り」
“あたくし、象を見ると耳鳴りがするんです”と言う老婦人。
それは、子どもの頃に英国で遭遇した象による殺人事件の話。
「海にゐるのは人魚ではない」
「海にいるのは人魚じゃないんだよ」
「じゃあ、なんだよ」
「海にいるのは、土左衛門さ」
「でも、オレ見たもん、人魚」
そんな小学生の会話から、多佳雄はある事件の真相を考察する。
「ニューメキシコの月」
『エルナンデスの月の出』ニューメキシコ州、1941年。
写真家、アンセル・アダムズが撮った写真。
その写真のポストカードを毎年送って来た男は室伏信夫。
医師でありながら9人の人間を殺し、死刑判決を受けていた。
「誰かに聞いた話」
連想ゲームのように、多佳雄と桃代は会話からある事件の真相を推測する。
「廃園」
薔薇が溢れる庭にかつて住んでいた結子と結花の母娘。
結子と多佳雄は従兄妹同士。
結子は、庭で自殺を図ったことがあった。
「待合室の冒険」
多佳雄と春が、遅れている列車を待っている待合室。
不自然な会話を漏れ聞いて、春はある犯罪を見破る。
「机上の論理」
ある人物の部屋を撮った数枚の写真から、どんな人物かを推理する。
夏と秋が描き出した人物は。
「往復書簡」
多佳雄と姪、孝子が手紙で連続放火事件を知らせる。
手紙のやり取りで、多佳雄はその真相と突き止める。
「魔術師」
S市の外れ、丘陵地を開発した大規模なニュータウン。
そこでは、奇妙なことが起こっていた。
交差点に置かれる、石鹸で出来たお地蔵さん。
赤い犬の話。
小学校の一クラスから突然消えた椅子。
判事の関根多佳雄とその家族が中心の推理物。
検事の息子、春と弁護士の娘、夏。
記憶力のある奥さんも、味のある登場をする。
関根多佳雄は、恩田さんのデビュー作の、主人公の父親だそうだ。
最後のあとがきを読むまで、気が付かなかった。
デビュー作『六番目の小夜子』。
春が主人公の高校生だったのか。
本格推理と言うよりも、家族の繋がりがほのぼのとして、そちらに気持ちが行く。
推測の状態で終るのが多いので、余計そう感じるのかも知れない。
刑事物ではないので、そこまでは必要のないということか。
それもいいが、「給水塔」のラストは、もう少しはっきりと結末をつけて欲しいと思った。
あのままでは、後味が悪い。
結末がはっきりとは書かれない、不思議な雰囲気の物語も。
ちょっと霧が掛かったような感じ。
これが恩田さんの持ち味だが。
「魔術師」は、まさに恩田さんらしい物語。
今までの短編は、少々物足りない感じがあったが、これは短編らしいコンパクトな面白さ。
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