「養鶏場の殺人/火口箱(ほくち)」 ミネット・ウォルターズ 創元推理文庫
Chickenfeed/The Tinder Box 成川裕子・訳
2編の中編
「養鶏場の殺人」
1924年にイギリス南部で起きた実際の事件を小説家したもの。
1920年冬、22歳のエルシー・カメロンは、4歳年下のノーマン・ソーンを教会で見初める。
エルシーは感情の起伏が激しく、人付き合いが上手く行かず、恋愛とも縁がなかった。
付き合い始めた2人。
エルシーは結婚前提に考え、失業中のノーマンに、養鶏業を勧める。
ノーマンは住まいから離れた場所で安い土地を買い、養鶏を始める。
それは、エルシーの感情の激しさに振り回される生活から離れたかった事もあった。
厳格な父親に育てられ、敬虔なクリスチャンのノーマンは、エルシーに別れを告げることが出来なかった。
養鶏業はなかなかうまく行かなかったが、やがて地元の女性と知り合いになる。
「火口箱」
イングランド、ハンプシャー州の小さな田舎の村で2人の老婦人が殺害される。
警察はアイルランド人の青年パトリック・オライアダンを逮捕する。
オライアダン家は15年前からこの村に移り住んでいた。
村の住民は、オライアダン家に嫌がらせを始める。
隣人のシヴォーン・レイヴナムはイングランド人と結婚しているアイルランド人で、心を痛める。
そこには、アイリッシュという偏見が感じられた。
パトリックが逮捕された時、母親のブライディ・オライアダンから、自分たちを見捨てないでと懇願されていた。
警察がブライディの助けを求める訴えを無視するので、その事を言いに行ったシヴォーン。
しかし警察からはブライディが言っていたのと違う話しを聞き戸惑う。
状況から、本当は何があったかを見つけ出すのは難しい。
犯人とされた人にも、多少の落ち度があった場合はなおのことだ。
ノーマンは実年齢よりも、世の中の事がまだ良く分かっていない子どもだった。
実際にあった事件と言う事だが、こうして読むと作者の考えに納得してしまう。
エルシーの精神不安定な所も、境界性人格障害ではないかと推測。
自分ではコントロール出来なかった感情はエルシーが悪い訳ではない。
そして、ノーマンの方もなにか欠如している物があった気がする。
鶏と人間を同じに見てしまうのは、幼すぎる。
パトリックの事件は、アイリッシュとイングリッシュの関係も重要な要素。
こちらは、誰もが思わなかった事実が明らかになるどんでん返し。
思い込みが、真実を見えなくする。
どちらも、現代の社会でもあるうる事。
いや、今の方がネットで煽る人たちもいるから、より悪質になるかも知れない。
Chickenfeed/The Tinder Box 成川裕子・訳
2編の中編
「養鶏場の殺人」
1924年にイギリス南部で起きた実際の事件を小説家したもの。
1920年冬、22歳のエルシー・カメロンは、4歳年下のノーマン・ソーンを教会で見初める。
エルシーは感情の起伏が激しく、人付き合いが上手く行かず、恋愛とも縁がなかった。
付き合い始めた2人。
エルシーは結婚前提に考え、失業中のノーマンに、養鶏業を勧める。
ノーマンは住まいから離れた場所で安い土地を買い、養鶏を始める。
それは、エルシーの感情の激しさに振り回される生活から離れたかった事もあった。
厳格な父親に育てられ、敬虔なクリスチャンのノーマンは、エルシーに別れを告げることが出来なかった。
養鶏業はなかなかうまく行かなかったが、やがて地元の女性と知り合いになる。
「火口箱」
イングランド、ハンプシャー州の小さな田舎の村で2人の老婦人が殺害される。
警察はアイルランド人の青年パトリック・オライアダンを逮捕する。
オライアダン家は15年前からこの村に移り住んでいた。
村の住民は、オライアダン家に嫌がらせを始める。
隣人のシヴォーン・レイヴナムはイングランド人と結婚しているアイルランド人で、心を痛める。
そこには、アイリッシュという偏見が感じられた。
パトリックが逮捕された時、母親のブライディ・オライアダンから、自分たちを見捨てないでと懇願されていた。
警察がブライディの助けを求める訴えを無視するので、その事を言いに行ったシヴォーン。
しかし警察からはブライディが言っていたのと違う話しを聞き戸惑う。
状況から、本当は何があったかを見つけ出すのは難しい。
犯人とされた人にも、多少の落ち度があった場合はなおのことだ。
ノーマンは実年齢よりも、世の中の事がまだ良く分かっていない子どもだった。
実際にあった事件と言う事だが、こうして読むと作者の考えに納得してしまう。
エルシーの精神不安定な所も、境界性人格障害ではないかと推測。
自分ではコントロール出来なかった感情はエルシーが悪い訳ではない。
そして、ノーマンの方もなにか欠如している物があった気がする。
鶏と人間を同じに見てしまうのは、幼すぎる。
パトリックの事件は、アイリッシュとイングリッシュの関係も重要な要素。
こちらは、誰もが思わなかった事実が明らかになるどんでん返し。
思い込みが、真実を見えなくする。
どちらも、現代の社会でもあるうる事。
いや、今の方がネットで煽る人たちもいるから、より悪質になるかも知れない。
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