しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「復讐法廷」 ヘンリー・デンカー 

2011年05月19日 | 読書
「復讐法廷」 ヘンリー・デンカー    ハヤカワ・ミステリ文庫
 OUTRAGE        中野圭二・訳

倉庫会社事務員のデニス・リオーダンの娘アギーは強姦・殺害される。
逮捕された男クリータス・ジョンソンは、アギーの物を持ち、自白もする。
しかし、裁判でジョンソンは無罪放免になる。
逮捕時の状況で、違法収集証拠排除法則が適用され、自白はジョンソンが保釈中だったため採用されなかった。
リオーダンの妻は、それがショックで衰弱し、死んでしまう。
リオーダンは初めて拳銃を買い、ジョンソンを射殺し、自首をする。
28歳のベン・ゴードンが弁護にあたる。
ベンは、検事局に勤めていたが、誠実であることに信念を持ち、政治的な価値で動く検事局を辞め弁護士になっていた。
弁護方法を考えるベンに、リダーオンは弁護はいらないと言う。
リオーダンの望みは、裁判で証言台に立ち、何があったかを知らせることだった。





面白かった。
弁護士のベン・ゴードンは、あまり優秀そうには感じなかったのだが。
法廷の場面は緊迫感が充分。
それぞれの人間性もよく分かる。
その中で1番落ち着いているのは、被告のデニス・リオーダン。
自分が何をしたいか、よく分かっているから。
事件の真ん中にいる人物なのに、裁判は本人は脇にやられているようだ。
裁判は、言葉のゲームの様に感じられるところがある。
見方や捉え方により、違うものに感じられる。
最後は陪審員に委ねられるが、その話し合いも、緊迫感があった。
話し合いの時間は、あまりページがないので、12人、全員を細かく書く余裕はないが。
物語の中にもあるが、このような裁判の陪審員は、本当に難しいと思う。
それでも、簡単には決められない裁判の結論を、見事に付けたと感じた。

法律も人間が作ったもの。
そして、それは解釈する人間によっても変わる。
だから、より細かく決めていったのかも知れないが。
その法律に縛られて、本質を見失っては行けない。
しかし、冤罪もあるのは事実。

テレビドラマのCSIで、証拠が汚染されないように細心の注意を払っている様子が描かれている。
この物語は、1982年に発売されたものだが、今と状況は変わらない。

しかし、弁護士とは何だろうと思う。
色々な物語を読み、実際の裁判でも思うことがある。
罪を犯していて、それを知っていても、その人の利益のためには無罪を主張する。
罪を犯しているかいないかは、問題ではないのだ。

今回の裁判は、その罪だけを問題にし動機は関係ない、と言うもの変な気がする。

もっともっと、法のあり方を考えていかなければならない。
今の日本も、何もかもが後手後手になり、犯罪を取り締まれないことがある。

1番はっきり思うのは、飲酒運転に対しての法、罰則。
車が増え、外で飲むことも増え、重大な事故が起きている。
悪いということは分かっているのに、なぜ減らないのか。
それは飲酒運転の罰則に、差を付けているから。
まるで、少しくらいならいいと言っているのと同じこと。
お酒を飲んで車を運転した人は、運転免許を一生取り上げればいい。
今の法律は甘すぎる。
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