しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「看守眼」 横山秀夫 

2009年08月16日 | 読書
「看守眼」 横山秀夫   新潮社

6編からなる短編集。

「看守眼」
定年退職目前の看守、近藤宮男。
死体無き殺人事件「山手町の主婦失踪事件」の真相を、留置場で見た容疑者から掴んでいた。
刑事になりたかった近藤は、退職前の休暇で容疑者を見張る。

「自伝」
大手家電量販店『兵藤電気』の会長、兵藤興三郎が、自伝の執筆を依頼して来る。
依頼前の面接で仲間2人は採用されず、不安を持ちながら行った只野正幸だった。
只野は問われるまま、自分の生い立ちを話す。
いきなり兵藤が自分のことを話し始めたのでパスしたと分かる。
そして兵藤は突然「わしは人を殺したことがある」言う。

「口癖」
家裁の調停委員、関根ゆき江。
新件は離婚調停だったが、その申し立ての妻、菊田好美を見て驚く。
それはゆき江の次女が高校生の時に登校拒否を起こした原因と思われる女だった。
その理由は分からなかったが、ゆき江は今の好美を見て優越感を覚える。

「午後五時の侵入者」
警察のHPにクラッカーが侵入する。
立場上あってはならないことだった。

「静かな家」
県民新報の地域版の整理記者、高梨透。
アマチュア写真の展覧会の宣伝を、終了した次の日に載せてしまうミスをする。
慌てて展覧会場に謝りに行くと、開いていた。
会場の持ち主は写真家、須貝清志の友人で新聞を読んで延ばしてくれたと言う。
写真家の須貝も気にしないだろうと言っていたが、自宅に行くと留守だった。
そして、須貝は新聞社に電話で謝罪記事を載せろと言って来ていた。

「秘書課の男」
知事の秘書、倉内忠信。
一昨日から、知事が自分を疎んじていると感じ、不安に思う。
その原因を新しく秘書課に来た、桂木敏一のせいだと思う。




警察を離れた物語。
殺人事件は少ないく、日常の中にあるサスペンス。
人間の心の中にある、どろどろした醜さを見せられる感じ。
物語の当事者は、かなり悩んで悶々とするが、読んでいる第三者は、そんなこともあるのだ、くらいに思えるものも。
はやり、もう少し盛り上がるストーリーの方が面白いかも。

同じ記事を読んでも、矛盾に気が付かなかった「看守眼」と、
読む前に謎が分かった「静かな家」が面白かった。

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