「書楼弔堂 待宵(まつよい)」 京極夏彦 集英社
書楼弔堂を探してやって来る人たちは、ゆく途中の甘酒屋と何かと係わる。
探書拾参 史乗
客は徳富蘇峰。弟は徳富蘆花。
探書拾肆 統御
客は岡本綺堂
探書拾伍 滑稽
客は宮武外骨
探書拾陸 幽冥
客は竹久茂次郎、のちの夢二。
探書拾漆 予兆
客は寺田寅彦。
探書拾捌 改良
客は斉藤一だった藤田五郎。
書楼弔堂の3作目。
今回の狂言回しは坂の途中で甘酒屋と営む弥蔵と、そこの常連客の利吉。
会話劇の様相で、粗筋が結構難しい。
弥蔵は会津藩の侍で、戊辰戦争で幕府軍として京都から蝦夷まで戦い、生き残った事を後悔している男。
生きることに意味を見出せず、ただ生きるために形ばかりの店を開いている。
そんな弥蔵を何かと気に掛ける利吉は、酒屋の次男坊。
何かになりたいと色々試すようだが、上手く行かず働いてはいない。
弥蔵が疎ましく思っても、懐いて離れないでいる。
そんな2人のやり取りや、弥蔵の考えや思考がメインになっている。
弔堂に来る客も今までと同じように、店主と話していくのだが、その前の弥蔵とのやり取りもじっくりと時間を掛けていて重い。
しかし、あれほどの事があって、さあ新しい時代だからと言われ、確かに付いて行けないもの分かる。
少しずつ分かる、弥蔵の生きて来た道。
それが1番、考えさせられる。
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