しましましっぽ

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「ボタニストの殺人」 M・W・クレイヴン

2024年12月20日 | 読書
「ボタニストの殺人」 M・W・クレイヴン   ハヤカワ・ミステリ文庫  上・下巻
 The Botanist        東野さやか・訳

ロンドンのテレビ司会者とゲストのトーク番組の収録中に、ゲストのジャーナリスト、ケイン・ハントが突然倒れて死亡する。
ケインは女性差別主義者で、その番組で脅迫状が来ている事を話していた。
数日前に届いたというその封筒には詩が書かれた紙と押し花が1つ入っていた。
ポーはその頃、別に事件で張り込みをしていた。
そのポーにノーサンブリア警察から連絡が入る。
友人で病理学者のエステル・ドイルが父親を殺したとして逮捕されたと言う。
ポーは500キロ離れたサンバーランド州に駆け付ける。
エステルの父親は自宅の屋敷の書斎で撃たれ死亡していた。
第一発見者はエステルだったが、エステル以外父親が死亡した時間帯に屋敷にいた可能性はないと警察は見ていた。
ポーは、エステルは犯人ではないと信じ自分で犯人を見つけようと思うが、ロンドンからすぐに戻るように連絡が入る。
ケインと同じ詩と押し花が同封された手紙が、下院議員のハリソン・カミンググズに届いたと言う。
ハリソンは数々のスキャンダルで党を除名されたが議員辞職は拒んでいた。
ケインの死因は毒殺で、ハリソンも同じように毒殺される心配があった。

〈刑事ワシントン・ポー〉シリーズ、第5弾。





今回は密室殺人の捜査に当たるポー。
しかも、押し花事件とエステルと2つとも密室。
1つは犯人との接触が全く考えられず、エステルの方は、雪に足跡がないからと言うよく登場する密室。
1つの物語に関係がないと思われる事件が2つ登場すると、段々それが繋がっていると分かるものだが、今回はそんな気配はないと思った。
いつものようにティリーも活躍して、そのやり取りも楽しいのだが。
今回は少々軽い感じが多くなり、読みやすいけれどなんとなく物足りなさを感じた。
もう少し重圧な雰囲気のシリーズ、と思っていたので。
面白くはあるのだが何だか変わって来ている気がする。
密室の謎も、詳細は分からないが基本的にはこうだろうなと予想が付いた。
あれだけ密室にしたら、かえって分かる感じ。
雪の方の密室は今までにない方法だった。
しかし分かってからだが、その事がそれほど珍しくないなら、警察の誰か気が付かなかったのだろうか。
そちらの方が不思議。
しかし今回も最後の最後まで、色々と進展がある。
確かに、復讐は相手にはっきりと示さなければ意味がない。
そう、西表島から始まる物語だが、読んでいる内にすっかりこの事を忘れていた。
フグの毒の話や、日本がちょこちょこ登場するのが楽しい。

ボタニストとは植物の研究者。
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