散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

ケルン

2005-05-09 17:26:01 | 移動記録
ケルンは私の好きな街の一つだ。

歩いていると、あっちこっちにローマの遺跡の残りが覗いていたり、きらびやかな商店街を歩いていて、ふと視線をずらすとロマネスク様式の教会が時間を越えて存在している。

昨日5月8日は”美術館の日”で、いずれの美術館も入場無料のうえ、殆ど30分おきにいろいろなテーマでの案内やイベントがあった。
”入場無料”の吸引力で、どこの美術館もものすごい人の流れが渦巻いていた。
普段お金を出してまで入らない、という人も何気なく入って見るに違いないし、家族大勢で入っても財布は痩せないですむ。
 私は特にそれが目当てでうろついていたわけではなく、知人の展覧会を見に行くためだった。

ライン川沿いにある見晴らしの良い場所に会場はあって、写真を中心にすえながらも絵画的に料理してゆくタイプの作品は静かで気持ちの良い展示だった。
しばらく雑談してから画廊を引き上げ、観光客に混ざって散歩をすることにした。

。。。。と話はケルンに点在する遺跡に向うかといえば、そういうわけにはいかない。
一天にわかに掻き曇り、大粒の雨がいきなり滝のように降り落ち、雷は黒い雲を縫う。
たいそうドラマチックな空模様になってしまったのだ。
ここしばらくこんな天気は続いていて、傘なしに歩くのは覚悟がいる。
 そういえば訪ねた画廊で会った作家の写真の中に雨の写真があって、古典的西洋絵画のなかには雨を描いた人が少ないね、という話をした。雨なんて極つまらない事象であって描くに足らないものだったんじゃないか?というのが彼の説だけれど、どうなのか? 
雨にもいろいろあるけれど、嵐ほどの展開が無ければドラマ性にかけるということか?

兎に角、幸い近くにあった美術館にあわてて逃げ込む。やはり入場無料でありがたい。

雨宿りの軒を借りたのは装飾美術館で、特筆するコレクションがあるとは聞いた事が無いのだが、本当の所はわからない。
ユーゲントシュティールから現代までの家具、道具、装飾品が展示されている。
18世紀の貴族が旅行をするときにもっていった大きな日用品セットがあって、何でもかんでも
揃っているのが面白い。どんな道中だったのだろう?
どのように使ったのだろう?とか、これをどんな人が使ったのだろう?
などと思いを馳せて、ぼんやりする時間はなかなか良いもので、思いがけず楽しく大変得した気分になった。


5月8日 ケルン 散歩絵