散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

万能植物

2005-05-20 16:02:02 | 植物、平行植物
西洋ニワトコの花を乾燥させて保存。風邪気味のときに入れて飲むと良い。


蜂蜜とマスカットを混ぜたようなふんわりした香に引かれてゆくと、”西洋ニワトコ”の花を見つける。
今年も咲き始めたのを見かけた。
時期がら植物の話が続いてしまう。

ラテン名:Sambucus nigra。ドイツ名:Holunder。

どこにでも生える丈夫な木で白い雪にたとえられる花は地味だが、昔からこの木の持っている多くの効用は知られていて”ありがたい木”なのだ。
民話にも2,3出てくるし、いろいろな迷信にも登場するので面白い。中でも有名な童話に”Frau Holle" (ニワトコおばさん)がある。

*6月24日は”Holdertag”  とも言われて、この日に新鮮な西洋ニワトコの花のパンケーキを作って食べるとその年はは病気にならない。もっとも最近は昔より暖かいからか、6月24日には花は終わっている事も多い。
*この木を切る時には、その前にひざまづき木の精に許しを請わねば不幸がおこる。
*アイルランドでは、この木で家を建てたら(もっとも大木ではないし、建材向きでは無いが)不思議な事が起こるのでいけないといわれる。
*イギリス、スペインでもこの木は魔女との結びつきがあって、魔女の乗るのはこの枝だという。
*スイスでは、この木を燃やすと、納屋や家族に不幸が訪れるとか、儀式-祈り なしに切ると3日後に死ぬというのまである。
*北ドイツでは昔、棺おけを測るのに、切りたてのこの枝を使い、棺おけを運ぶ馬車はこの枝を鞭に使った。
*チロル地方では亡くなった人の墓にこの枝を差し、根付いたらときに魂が昇天すると迷信もある。

そんな風に、生と死にまつわる木なのだ。
私は、そんな風な物語を沢山持った植物に興味を持つ。

そういえば我が家のテラスにも、鳥が蒔いてくれた種から育って1mくらいになった西洋ニワトコが生えているのだが妙な所に生えていて、それを取ってしまうかどうか悩んでしまった。
木の精に祈ってから引き抜くべきか?

ところで、この木は花、実、葉、枝 全てに効用がある。その効用を上げたらなんだか万能薬のようだ。ビタミンCを多く含むので、風邪気味の時にはよくこの実のジュースを飲んだり、花を乾燥させたものをお茶に入れて飲むと喉にも良い。
そうかといって毒性が全く無いわけではなく、未熟な実や、茎、種などはSambnigrinを含むので内服には多少気をつけたほうが良いし、食べ過ぎるとお腹をこわす事もある。
そういう私も花がたくさん入ったデザートを食べてお腹をこわした事があるが、分量をわきまえていれば問題はない。まあ、よくあることなのだが、私の場合その辺の見当が外れていたというだけだ。

この花のリキュールやシロップはなんともいえない風味で美味しい。
花のシロップを冷たい水で割って飲むと体の中にその香がひろがるようだ。
だから私はどんなに忙しい時にも花の収穫をする事にしている。本当に美味しいのだから。。。
再来週あたりが時期かと睨んでいる。

”私の亡くなった父は必ず西洋ニワトコの木の前を通る時には、帽子を軽くあげて挨拶をしていたわ”と友人が懐かしそうに話してくれた。


 西洋ニワトコ、ラベンダーの花、などなどを刻んだ石鹸とあわせて練リ、丸める。手洗い洗濯に殺菌清浄効果大なり。とはいえ、私はこういうものを作ってもあまり使わないので、この石鹸玉は棚のオブジェの隣で2年ほど鎮座している。